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2017年6月4日 展覧会

レポート「black,color アーティストトーク」

木村充伯、タン・ルイ二人展black,colorの展示が5月27日よりはじまり、展覧会初日に服部浩之さんをゲストというかたちで迎え、アーティストトークが開催された。

まず初めにそれぞれから自身の制作や活動の紹介がされた。

タン・ルイさんは18年ほど前にマレーシアから日本に移り住み制作活動をしている。素材がもっているその物の色を直接作品にできないかと考え、スーパーの広告チラシやマスキングテープ、洗濯バサミなど普段身近にあるものから作品を生み出しており、例えばスーパーのチラシに載っている生肉や果物のような生の素材が持っている生々しい色を美しく感じると話した。

この「身近なものを素材として扱っている」ということに何か意図があるのか、と服部さんから質問が投げかけられた。それに対しタンさんは、自分はマレーシアから日本に移り住み、制作をしている。これはある意味レジデンスと同じなのではないかと感じており、そんな違った文化の中で目に入ってくるものはその国の人にとっては身近であるかもしれないが自分にとっては新しく、このような環境の中で制作をしていて身近なものがモチーフとなっていくのはある種当たり前のことではないだろうかと話した。このやりとりを聞いたとき、きっと異国の文化の中で制作をしているからこそ感じることのできる感覚なのではないかと思った。今回展示されている円形に並べられたインスタレーションの作品も普段目に留まらないような身近な風景をあえて主題としてもってきたと言う。

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木村充伯さんは生命感のあるものをつくりたい(生命感には死も含まれている)と話し、油絵の具を固めた彫刻作品や、木の表面にチェンソーをあててけば立たせ、毛が生えているかのように見せる「毛の生えた彫刻」など、これまでの作品の紹介と共にそれがどのようにつくられているのかなど、制作過程も含めて話をし、毛の生えた彫刻の話では生命感をだすには意図的に毛が生えるようにしなければならないと考え、木をどういう角度に切ったらいいのかなど、展示を見るだけではなかなか気づかない、制作側での模索、研究の話をしてくださった。「毛はつけるものではなく生えるもの」という木村さんの言葉がとても印象的で、彫刻の話をしているのに毛の話をしているという、どこか不思議なおかしさがあった。木村さんは海外での展示経験も多く、そこでの画材や環境の違いについての話もした。

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続いて今回の展示作品の話になり、服部さんからタンさんへコラージュを平面でなく半立体として表現していることについての質問が投げかけられた。タンさんの中にはもともと立体がつくりたいという気持ちがあったが、どのようにコラージュやドローイングの線を立体に起こせば良いのだろうかと考えていたそうだ。今回の展示では針金を使い、ドローイングの線を立体として表現している。

展示室全体の印象として服部さんは、作品自体に全く共通点のない二人ではあるが、ひとつの展示室内での二人の作品の境界の隔て方や混じり方から必然性のようなものが観えてきて、観ていておもしろいなと感じ、これは普段共に生活、制作しているというところからやはりつながっているのではないか。と話した。

木村さん、タンさんそれぞれから出てくる言葉のひとつひとつがどこかユニークで魅力的で、話を聞いていて作家自身と作品がリンクしているような印象を受けた。

レポート|小川