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2025年7月14日 レポート
アーティストインタビュー|西川滉都
西川さんは、日用品や電子機器など様々なメディアを用いてインスタレーション作品を発表しています。本来の用途とは異なる形での組み合わせや、配置によって新たな「動き」を与えることで、ユニークな空間ができあがります。今回のインタビューでは、どんな時にアイデアが生まれるのか、アーティストとして活動をすることになった原点などをお聞きしました。
ものづくりと想像力
小さい頃からつくることが好きだったと語る西川さん。油粘土でネズミをたくさんつくったり、「ほねほねザウルス」(恐竜をモチーフとした玩具菓子)のいろんなパーツを自由に組み合わせて新たな恐竜をつくってみたりと、手を動かして何かを生み出すことに熱中していたそうです。さらに、つくったモノにオリジナルのプロフィールやストーリーを頭の中で組み立ててあそんでいたと教えてくれました。子どもの頃の何かをつくる衝動は、今も変わらずにあるそうで、手元にあるものを材料に手を動かしてはつくることが日常的にあるそうです。
名古屋学芸大学(以下、学芸)映像メディア学科への進学を決めたきっかけは、3D映像制作への憧れだったそうですが、入学後にアルミ板の上で肉の塊が動く作品を見た時に、映像以外の作品制作の可能性を知りました。この体験をきっかけにインスタレーション作品の制作を手がけていくようになります。学部の卒業制作では、扇風機などの日用品を用いたインスタレーションを展開し、動作のシステム構築にArduino(ワンボードマイコン)を使用したことで、作品展開の幅がぐっと広がったそうです。起動や動きの指示なども、自分でシステムを構築できるという発見によって、さらに作品制作を続けていきたいという気持ちが芽生え、学芸の大学院への進学を決めます。大学院では、作品を制作する理由、なぜ表現するのかということについても深く考えていくことができたそうです。
日常にある動きに注目する
西川さんは、日常生活の中で、常に自分がおもしろいと感じることにアンテナを立てています。アンテナを立てておくことで、動きや音、光や影、雰囲気など気になったイメージが頭の中に蓄積されていきます。展示が決まると、アンテナの感度は高まっていき、日々アイデアのたねが溜まっていくとのこと。作品を制作する時には、最初から完成のイメージや設計図が用意されているというよりも、ものを組み合わせたり動かしたりして、手を動かしながら自分の中に生まれたイメージを形作っていきます。その中で思いもしなかった動きが生まれることもあります。多様な素材から様々な動きを生み出すことによって、価値観を更新させたり、ものごとをみつめる新たな視点を獲得することができると教えてくれました。
アートラボあいちの空間では、どのような動きのある作品が展示されるのでしょうか。日常の中のどんな動きがヒントになったのかを考えるのがとてもたのしみです。いつもの散歩が違う時間になっていくような感覚で作品を観ることができるのではないかと思います。
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(2025年5月3日(土)※オンラインによるインタビュー レポート|近藤令子)