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2026年8月26日 レポート

イベントの様子|ミッドジャパン音の芸術祭2026 プログラムⅢ[表現の多様性を感じる時]

出演|伊地知 昂大、佐藤 亜矢子、杉浦 菜月 (共演:大岡 笑子、酒井 楽)、藤江 明香里、Mimiz
日時|2026年8月23日(日)
   開場時間/16:00
   公演時間/16:30から18:30
会場|アートラボあいち2階

プログラム|
杉浦菜月 「被験者記録」演奏:酒井樂、大岡笑子
藤江明香里「壊れたクラリネット」
Mimiz   「Session 20260823」
伊地知昂大「瞬間たちの集い、2声のヘテロフォニー」
佐藤亜矢子「Re-浜松のクラゲは鐘を鳴らすのか?」

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左より大岡笑子、酒井樂

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藤江明香里

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Mimiz(左から:鈴木悦久、福島諭、飛谷謙介)

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伊地知昂大

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佐藤 亜矢子

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プログラムノート
(開催時に配布された資料より抜粋)

杉浦菜月「被験者記録」
この作品に、安全な場所はない。
声やノイズ、環境音を「記録データ」として扱い、それらを断片化し、時間をまたいで再配置している。
ここに存在する音は、すべて一度記録されたものである。
観察することと観察されることの境界は、ゆっくりと反転していく。

藤江明香里「壊れたクラリネット」
童謡「クラリネットをこわしちゃった」では、少年がパパにもらった楽器から音が出ず、ついには「ドレミファソラシ」のすべてが鳴らないことが分かる。だが実は、壊れていたのではなく、初心者の少年がうまく鳴らせなかっただけだともいわれている。
本作は、この童謡のオマージュである。クラリネットが次第に声を得ていく過程には、作曲者自身の声を機械学習させた音色変換モデル「RAVE」を用いた。音高やリズムを保ったまま音の質感を変える技術により、楽器の音は人の声へと姿を変えていく。声を得たクラリネットは何を語るのか。

Mimiz「Session 20260823」
2002年に結成して24年が経った。来年は25年、なんと四半世紀だ。僕らは大垣で結成したのだが、24年間で3人が大垣に揃っていた時間は短い。その間、即興ユニットという成り立ちもあって、綿密なリハをすることもなく、わりと気ままに活動を続けることができた。一番遠距離になった時期は、新潟-名古屋-長崎で、まるで日本の西側半分を三角形で結んだような位置関係。それでも、3人ともMimizであることは辞めなかった。もう二度と結成当初のような、すぐ会える場所に集まるとは思っていなかったが、2026年の今年、ナイスミドルになった僕ら3人は大垣に住んでいる。来年は結成25周年。節日を迎える前年に、不思議なことが起こるものだ。

伊地知昂大「瞬間たちの集い、2声のヘテロフォニー」
この作品は浜松市鴨江アートセンターでのアーティスト・イン・レジデンスに伴い制作した作品である。制作に際し、静岡県美術館へリサーチを行い、オーギュスト・ロダンの彫刻作品群と向き合うと、それらには動いている"最中"にフォーカスを当てた作品が多く、そこには"前の軌跡"と"後の期待"が含まれていた。
時間は前後の相対的な変化によって知覚することができるものである。私たちは最中=今という瞬間たちによる基準があり、その前後の相対的な比較を行うことで時間を把握することができる。
そして、その瞬間たちはの大きさは変化し続ける。空間音をリアルタイムで録音し、その録音が高速、低速で再生され音楽構造が生まれる。そしてその録音枠は大きさが更新され続ける。本作は6時間以上のライブエレクトロニクス作品であり、今回はその中から2楽章の一部を演奏する。

佐藤亜矢子「Re-浜松のクラゲは鐘を鳴らすのか?」
2026年6月に静岡県浜松市で初演したアクースマティック音楽作品《浜松のクラゲは鐘を鳴らすのか?》を再構築するライヴ・パフォーマンス。ミッドジャパン音の芸術祭2024で上演した《クラゲが鳴らす鐘を聞くための最初の階梯》に連なる作品である。
ー浜松の水中を漂うクラゲたちは、ユクスキュルが描写するように鐘を鳴らすのだろうか。当然ながら、これは想像の領域に属する問いである。そうして私は、浜松の海にマイクを沈めたー
今回、ここ名古屋でもう一度その問いに向き合い、クラゲによる音楽的な情景を浮かび上がらせることを試みる。


プロフィール(プログラム順)

杉浦 菜月 SUGIURA Natsuk
名古屋音楽大学音楽総合コース(電子オルガン)卒業後、同大学大学院音楽研究科作曲専攻(映像音楽)修了。電子音響や空間音響を用いた作品を中心に、記憶や痕跡、人間の存在と空間との関係をテーマに制作を行う。CCMC2023 FUTURA Prize受賞。2026年、ドイツ・ベルリンのElcktramusicよりアルバム『Elsewhere』をリリース。コンサート作品に加え、展示やインスタレーションなど、音を通して空間を体験する表現にも取り組んでいる。

酒井楽 SAKAI Raku
名古屋音楽大学音楽学部声楽コース卒業。森雅史氏に師事、カレッジオペラ「バスティアンとバスティエンス」コラ役として出演。現在は合唱を中心として活動している。

大岡笑子 OOKA Shoko
愛知県豊橋市出身。幼少よりピアノを森田幸子氏に師事。小学2年生時より三河市民オペラ合唱団並びに三河市民合唱クラブに所属し、2009年公演「カルメン」、2013年公演「トゥーランドット」の児童合唱、2023年公演「アンドレア・シェニエ」の民衆役として出演。大きなホールで朗々と取うソリストに心惹かれ、声楽に興味を持つ。
浜松学芸高等学校音楽コース、洗足学園音楽大学声楽コース、名古屋音楽大学大学院声楽専攻にて研鑽を積む。小林史子氏に師事し、ダンスンツィオの詩によるトスティの歌曲等を中心に研究を深めた。2023年カレッジオペラにて「スザンナの秘密(抜粋)」スザンナ役(後半)として出演、また、作曲コースの学生の作品発表会等に出演している。

藤江明香里 FUJIE Akari
名古屋市立大学芸術工学部在学中。神戸薬科大学を中途退学後、人間の声を音楽的素材として捉える表現に関心を持ち、制作活動を行っている。名古屋を拠点にMC・ナレーターとしても活動し、CM、VP、映像出演、トークショー MCなど多様な現場で話し声を扱ってきた経験を持つ。話し声の銀律的特徴と音楽的パラメータとの構造的対応関係、ならびに声と楽器音の音響的関係に着目し、意味を担う声が音へと移行・変質する過程を探るアブローチで作品を制作している。

Mimiz
福島論(Laptop)、飛谷謙介(Electronics, Instrument)、鈴木悦久(Electronics, Percussion)による、即興ノイズユニット。独自の即興演奏スタイル「レイヤードセッション」を用いて、階層化したセッションを探求している。

伊地知昂大 IJICHI Kodai
2000年愛知県出身。名古屋学芸大学大学院メディア造形研究科メディア造形専攻修土課程修了。大学入学時にDTMとは異なる文脈の電子音楽と出会い、以後、音楽、メディア表現を専攻する。主に作曲、演奏パフォーマンス、舞台音響を鈴木悦久らに師事。専門分野は電子音響音楽、即興演奏。音楽における時間構造、演奏における"システム一作曲者一演奏者"の関係性について、アルゴリズム、プログラミングによる作曲やラップトップ、電子楽器などを使用した演奏パフォーマンスの実践を通して研究を行なっている。JSSA 先端芸術音楽創作学会、JSEM日本電子音楽協会正会員。2026年度浜松市鴨江アートセンターアーティストインレジデンス事業アーティスト。ソウル国際コンビューター音楽祭2025出演。JSSA音楽祭2024作品公募入選。

佐藤亜矢子 SATO Ayako
作曲家、アーティスト。旅先や日常で出会う雑音・生活の音・物音などの録音素材をもとに、環境や場所の記憶を辿りつつ、それらを上書きするような作品を手がける。映像作家や現代美術家との共作、アクースモニウム演奏、イベントオーガナイズ他、幅広く活動。ICMC、SMC、NYCEMF など国際学会・音楽祭で作品を上演。東京術大学大学院アカンサス音楽賞、Destellos Competition. Prix Presque Rien 他受賞。2019年、東京美術大学大学院音楽研究科博土後期課程修了。フランスの作曲家リュック・フェラーリの作品研究により博士(学術)取得。2025年より静岡文化芸術大学デザイン学部講師。