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2019年5月2日 展覧会

Unprepared -無交差-(愛知県立芸術大学)

アーティスト|倉知可英(コンテンポラリーダンサー)、SKANK/スカンク(音楽家)、倉地比沙支(版画家)
会場|アートラボあいち3階
会期|2019年5月25日(土)~6月23日(日)
関連イベント|5月25日(土)、6月8日(土)、6月15日(土)、6月22日(土)各17:00~18:00 3人によるパフォーマンス
※期間中公演日以外の催しが無い日でも(特に日曜日)、私がインスタレーション作品に寄り添うように踊ることがあります。タイミングが合えば、あなたも見ることが出来るかもしれませんね。(倉知可英談)


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美術の表現も多様化した現在、方法やジャンルの横断や融合が盛んに行われ、新たな表現の拡散が展開されて久しい。その度に、オーソドキシーやジャンルの境界は溶解し、節別の液状化は加速する。今回の3名はコンテンポラリーダンサー、音楽家、版画家という全く違うジャンルで活動する作家による展覧会である。各々がジャンルの因果を背負いながら、多くの実績や経験を持つ。「Unprepared」は準備なし、「無効差」は交わらないという言葉通りの意味で、如何に交わらないかという観点でコラボレーションし、交わらないことを突き詰めることで、否応なく交わる要素が掬い取れるのではないかという試みである。ジャンルの因果を抱えながら、互いの境界線のズレを共有できるかもしれない。

倉知可英氏は長年、フランスのダンスカンパニーに所属していたコンテンポラリーダンサーである。スカンクSKANK氏は、音楽家でありながら演劇やパフォーマンスを取り入れ独自のインスタレーション空間を作り上げる活動をしている。倉地比沙支氏は、版画分野において国内外で積極的に活動し、分野にとどまらず多岐に渡り活動する版画家である。スカンク氏、倉地比沙支氏のインスタレーション展示と倉知可英氏の定期的なパフォーマンスが展示内容となる。また、3名によるクロストークも予定している。

主催|あいちトリエンナーレ実行委員会、愛知県立芸術大学
本展企画|倉地比沙支(版画家・愛知県立芸術大学教授)

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倉知可英/KURACHI Kae [コンテンポラリーダンサー]
6歳より、奥田敏子舞踊研究所入所。石井みどり、折田克子、倉知外子に師事。1998年、愛知県の助成を受け、ジャン=クロード・ガロッタ主宰グルノーブル国立振付センターで2年間研修し、その後同カンパニーのメンバー として在籍し、フランス国内や約20カ国のツアーに参加。2006年夏に帰国後、自主公演《DANCE YARD》 《KAYAKU NIGHT》、児玉たまみとの共同企画《光の記憶》(あいちトリエンナーレ2010・2013祝祭ウィーク参加)を開催。2015年より、スタジオを拠点とするカンパニー「seeds dance company」を結成し、名古屋を中心に活動する若手振付家・ダンサーのための作品発表の場として「NAGOYA DANCE SCENE」をスタートさせる。その他、音楽家や歌人とのコラボレーションなど、名古屋、東京、パリなどでダンサー・振付家として活動する傍ら後進の指導にあたる。2019年9月23日には、「あいちトリエンナーレ 2019舞台芸術公募プログラム」に企画が採用され、コンサートホールにて公演が決まっている。平成24年度名古屋市芸術奨励賞受賞。名古屋市民芸術祭2014, 2018特別賞受賞。
studio K.K.nagoya/seeds dance company主宰。

スカンク/SUKANK [音楽家]
2005年より振付家、映像作家、音楽家よるパフォーミングアーツカンパニー「Nibroll」に参加。個人的な活動も精力的に行っており、自身のユニット「MEXI」では形態を定めず都内を中心に活動。多くのミュージシャンや美術、写真など他ジャンルのアーティストとも積極的にセッションしている。また多くの身体表現の舞台にも楽曲の提供、演奏を国内外でしており2009年より劇団「指輪ホテル」の作品に楽曲の制作だけでなく出演もしている。他にも循環プロジェクト (エイブルアート参加事業)では 音楽のナビゲーターを務め、美術家、アニメーターとの共同プロジェクト「words factry」の共同制作に参加。インドネシアの美術家ムラティ・スルヨダルモとのパフォーマンスの共作、出演。映画音楽の担当(杉田協士監督作《ひかりの歌》 2017年 東京国際映画祭、2018年全州国際映画祭招待作品など)。2015年より「音楽家によるインスタレーション」シリーズとして個展をスタート(2015年《skin, sensor, filter》、2016年《ふ・ざい a bs en t》、2017年《...missing...》)。2018年にはチェンマイのMAI SPACEギャラリーとAIIAM現代美術館が連動する個展とパフォーマンスをダンサーと共同制作、上演(2018年《...A...ALL...》)するなど活動の幅を広げている。


倉地比沙支/KURACHI Hisashi [版画家・愛知県立芸術大学油画専攻教授]
1999 ノルウェー国際版画トリエンナーレ賞台湾国際版画ビエンナーレ銀賞
2005 カラーイメージングアワード グラフィック部門エプソン賞
クラコウ国際版画トリエンナーレ ワルシャワ芸術アカデミー理事長賞
2005 現代版画の潮流展(町田市立国際版画美術館、町田市、東京)
2006 名古屋市芸術奨励賞(名古屋市文化事業団、名古屋市)
2007 Show me THAI―みてみ☆タイ(東京都現代美術館、東京)
2008 マキシグラフィカ ファイナル(京都市美術館)
2009-12 第2回、第3回バンコク国際版画トリエンナーレ受賞(タイ)
2014 アイチのチカラ! 戦後愛知のアート、70年の歩み(愛知県美術館)
牧歌的な閉塞感を感じさせるキマイラのような物体や地面などの題材を、即興性や偶然性を排除し極力創り込んだ作品を制作。現代の美術界においても、モノクロ、モノトーン (1色) を採用しながら、新たな表現の領域を開拓しようとする多くの作家が、様々な表現フィールドにおいても存在する。豊かな色彩を排除する禁欲的な側面を持ち、手法の中に制約がある事によって、逆に描かれているモチーフや内容を際立たせ、作品に独特のリアリティをもたらす効果があるのかも知れない。白と黒の2 極である版画特有の単純な構造を持ちながら、そこから否応なく抽出されるノイズや曖昧さに興味を持ち、抽象的な題材を使わず、具体的な世界観を描き切る事によって、じんわりとにじみ出てくる「ナマさ」や「シニカルさ」が手法の特異性に繋がると考えている。

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