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2022年11月10日 展覧会

次回展覧会|「天才の幽霊」(名古屋造形大学企画展)

アーティスト|井上暁登、小粥幸臣、MITOS
会 場|アートラボあいち3階
会 期|2022年12月16日(金)〜2023年1月15日(日)

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 天才の幽霊の本領が発揮される時はどのように訪れるのだろうか。その幽霊は天才だ / あの天才が後に幽霊になった。不明瞭な事実を確かめる方法を考えてみよう。それは怪奇現象以前に概念なのだろうか?言い伝えを信じてしまうという前提を疑うのか?これまでの経験を軸に実際に身体を伴う行動にうつすのか?
 井上は作品そのものの構造よりもそれが出現する以前の思想を重視する。小粥は言葉や説明に対する不信感からわからなさを確かめるために制作を行う。MITOSは自身の生活や制作の経験を基に実直に絵画制作を展開する。2022/23年冬、彼らと「天才の幽霊」を確かめる。展覧会は慎重に秩序立てられた混乱状態になるだろう。(佐藤克久)


井上暁登(Inoue Akito)
芸術家
1996年 長崎県生まれ
2019年 名古屋造形大学造形学部造形学科洋画コース卒業
主なグループ展
2019年 欲望の玉響 / 玉響の欲望(ゲンロン五反田アトリエ / 東京)
     Future Artist Tokyo ~ERLection of Anonymous(東京国際フォーラムロビーギャラリー / 東京)
2018年 Frame(名古屋造形大学内 D-1 ギャラリー / 愛知)
受賞歴
2019年 桂冠賞(名古屋造形大学卒展)
2022年 Idemitsu Art Award 2022 入選

丸が丸いと、気がつけば知っている。どれくらい精度が高い丸かと、もう理解している。教えられたからか、生まれた時からか、血を乗り受け知っているのか。未だ、個と言うには早い。
 個とは何だろうか。親の遺伝を引き継ぎ生まれ周囲の環境から経験・情報を吸収し、それを基に人格が作られる。人は、考え決断し生きていく、もしくは死ぬ。思考することが人か、経験に基づいて行動を変化させるなら他の動物も行っている。しかし彼らは種によった行動から逸れることはほぼ無いため、人の主観で言えば個を感じない。では、全ての人は個であるか。情報の集積としての器以外に何があるだろうか。今現在私に繋がるまでの遺伝と、生誕後の経験で形成された性格は、機械の学習法と変わりが無いのではないか。人であり個であるとはどの様なことか、逆説的に今ある個の様なものを放棄し思索してみてはどうか。

小粥幸臣(Ogai Yukiomi)
美術家
1987年 愛知県生まれ
2009年 直哉造形大学美術学科彫刻コース卒業
主な個展
2010年〜2015年 (☆Star gallery / 愛知)
主なグループ展
2022年 SPACE WITHOUT BOUNDARIES - Wriring and Movement(Hebel_121 / バーゼル)
2019年 蚊帳の外 Kaya no Soto(Out of the loop)(Hebel_121 / バーゼル)
2018年 Anagama Project 2018(小牧市民交流館 / 愛知)
2017年 Art Obulist 2017 Art Obu Art / Little Vehicle(大倉公園休憩棟 / 愛知)
2016年 Little Vehicle 2016(Botao Gallery / 愛知)

バイト先になぜかいつも不機嫌な人がいた。ある日、その人のズボンのポケットが大きく膨れていることに気がついた。何日か観察していると、その人のポケットには、不便としか思えてならない大きくて重そうな、何かが入っていた。気にしないようにしても気になったら仕様がない。怒られるのを覚悟して何が入っているのか尋ねると、その人は一瞬ハッとした様子で僕を見た。思わず、一歩下がった。その人は何も言わず、嬉しそうに頷くだけだった。そんな出来事を忘れていたある帰り道、ふとポケットに手をやると、僕のポケットにもその「大きくて重そうな何かが入っているではないか。
 お!これは!僕はあの時のことを思い出し、興奮しながらポケットから「それ」を取り出した。すると、「それ」は何もなかったかの様に消えてなくなってしまった。その大きくて重そうな感覚までも。「それ」を何としてでも消えないようにする試みをしています。

MITOS
(画家)
1985年 生まれ
2008年 名古屋造形芸術大学美術学科洋画コース卒業
主な個展
2022年 清須市はるひ絵画トリエンナーレアーティストシリーズ Vol.97 MITOS展 静寂のリズム(清須市はるひ美術館 / 愛知)
主なグループ展
2022年 瀬戸現代美術展2022(菱野団地各所 / 愛知)
受賞歴
2022年 Idemitsu Art Award 2022 入選

一本の直線には、濃淡や掠れなどの旨みが内包されている。線の歪みには妖しさが在る。支持体の四隅と、線と線の間を観察しながら画面いっぱいに描いてゆく。その上に平仮名といった異なる線を重ねる。語句としてではなく、文字の持つ韻律が枢要かつ線の律動を暗に示唆するための装置としてである。稀に鼻歌混じりに発意で描く折もあるが。色彩は素材の扱い易さを基点とし、色彩論に基づいて選択する。
 呼吸を整え、心を静める。描く動静は経験と勘にに依るところが大きい。所作は反映される。筆致の山から間が覗く。偶然性を引き寄せる装置の発明。何を描くかよりどう描くか。