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2023年6月30日 展覧会

Blind dog(名古屋芸術大学)

アーティスト|髙橋
会 場|アートラボあいち2階、3階
会 期|2023年6月30日(金)〜2023年8月20日(日)
開館日時|金土日祝 11時〜19時

イベント【アーティストトーク】
 日 時|2023年7月29日(土)17:00−
 出 演|髙橋
 ゲスト|千葉真智子(豊田市美術館学芸員)
中止イベント【クロージングトーク】
 日 時|2023年8月20日(日)17:00−
 出 演|髙橋 凜
 ゲスト|未定
※20日に予定していたクロージングトークですが、都合により中止となりました。
ご迷惑をおかけし申し訳ありません。恐れ入りますが、ご理解とご協力のほどよろしくお願いします。

Blind dog_N-1.jpg Blind dog_N-2.jpg

展示される《Blind Dog》は、2020年から制作を始めたシリーズ作品である。
"盲目の犬" という存在を巡るこの作品は、2020年5月25日に行われた友人とのオンラインの会話が発端となっている。

その会話の中でマイクとスピーカーで音のハウリングが起こるというハプニングが起き、聞き取りにくい音環境の中、
「Can you hear me?」「Yes」「Can you hear me?」「Yes」の往復が続いた後、友人は目の見えない犬を飼っているという話をした。その犬は加齢により目が見えなくなったが、既存の記憶から家の中を自由に闊歩できるという。この何気ないコミュニケーションの中で、ハウリングの音とパンデミック下で制限された生活から広範な場所にいる感覚に陥ると同時に、"自由に歩む盲目の犬" "ハウリング" というイメージが、視覚だけではない感覚が事象や空間を断片的にまたは、流動的に把握しようとする思考と自身の制作と深く関わっていることに気づき、その直後から、"盲目の犬" の存在は《Blind dog》という作品のシリーズのモチーフとして登場することになる。同じ図像をコラージュしたポストカードや、近所でみつけた置物の犬を観察した映像作品、といったシリーズとして制作。

今回はアーティストのHiiona Choiと共同で制作したサウンドを中心としたインスタレーション作品とコラージュ作品、匂いに着目した同タイトルの新作を発表する。

髙橋

この展覧会は名古屋芸術大学を卒業し、制作活動を継続している若手作家を紹介するアワード「nu- award」の第一弾です。名芸のバックアップを受け、卒業生のアーティストとしてのキャリアアップへとつながる展覧会を開催していきます。また、デザインやマネジメントにも卒業生を起用することで、 アートにまつわる様々なジャンルで活動する彼/彼女らを広く支援、育成し、また発信していくことを目的としています。

企画|津田佳紀、吉田有里
デザイン|栗本凌太郎
コーディネート|大野高輝

主催|名古屋芸術大学、国際芸術祭「あいち」組織委員会


髙橋は3000枚ほどあるドローイング作品《Emaki》を2016年から制作しています。
このドローイングは自身のみ理解ができる内省的な言語と社会を曖昧に接続するものとして収集し、記号的に描くために、それに登場する人物や岩、水には使う色や描く手順が決まっています。これは絵画を描くということをできるだけ排除して記号のように作る方法であり、曖昧なものを鮮明に描く為に、作家自身がかしているルールでもあります。
それらのドローイングは描かれた当初より時間が経過することによって、世界の事象や物の存在、価値、印象が変化します。1つの意味のみを持ったドローイングが、作家の思惑とは別に作品が情報を時間の経過と共に流動的に含んでいくことまたは廃れていくことを、制作の中で探求し複数のドローイングを何度も組み替え立体、映像、パフォーマンスなど様々な素材が密接に関わり合いながら、多様なメディアに囲まれた領域で作品を制作しています。

髙橋 凜(TAKAHASHI Rin)

1996年 東京生まれ、名古屋育ち。
髙橋は、パフォーマンス、ペインティング、テキスト、ビデオ、サウンドなど、あらゆる素材を等しく使って作品を制作している。一定のルールのもとで描かれた《Emaki》( 2016〜 )という一連のドローイングを組み合わせて、慣習や現代の問題の不確かさ、人間の曖昧さを表現している。
規則化された方法のように感じられるが、意図しない身体の動きやコミュニケーション(エラー)がその指示の中で起こる、主体と客体との奇妙な分離感を生み出している。
2020年名古屋芸術大学洋画コース卒業。2022年にBeaux-Arts de Parisでの交換留学を経て、2023年東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティスコースを修了。

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