今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

アブドゥライ・コナテAbdoulaye Konaté

  • 1953年ディレ圏(マリ)生まれ。
  • バマコ(マリ)拠点。

AC38

母国マリとキューバで絵画を学んだアブドゥライ・コナテは、1990年代以降、色彩鮮やかなテキスタイル作品を各地で発表してきました。コートジボワール北部とマリ南東部の先住民族セヌフォ族のミュージシャンの衣装に着想を得て、短冊状にしたマリ産の綿織物を重ねて作られた作品には、西アフリカのテキスタイルの伝統に根差しながら、パレットから絵具を選ぶ画家の意識が表れています。各色は生命、起源、平和、太陽、自然などを、そして藍染で有名なマリを代表する青は水を象徴しています。《祖国の子供たちのための凧》(2019)では青空を背景に、若い世代への希望が凧に託されています。

画面と支持体との関係や大画面での色彩構成の探求が三次元に展開し、初期作《HIVとの戦い》(1995)はインスタレーションになりました。本作は、戦争、テロ、虐殺、権力の濫用、移民、感染症といった国内外の社会暴力や諸問題に応答してきたコナテの実践のなかでも特に、当時アフリカで社会問題となり始めたHIVまん延への警鐘として制作されました。人物がまとう緑のスカーフは希望を象徴し、足元に置かれた黒箱の蓋裏には、芸術が人々に与える畏敬の念を病める人も受け取ることができるように、というコナテの願いが込められた3枚の《モナ・リザ》のプリントが貼られ、中にはレッドリボンのロゴが配された毛布が入っています。発表当初から2000年まで蓋裏のプリントは《ゲルニカ》で、箱の中には毛布と共に人々が持ち帰ることができる未使用のコンドームが入ったインタラクティブな作品でした。近年は、地上、天空、人間を含む全ての生命が調和する「万物照応」の世界観を表した抽象的な画面になってきました。時代と共に自作を発展させ、病を患う人々が差別なく愛を得ることができる世界を心に描くコナテの実践は、今日の私たちにも響くことでしょう。

コナテは2017年の第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ(イタリア)、2007年ドイツの「ドクメンタ12」等の重要な国際展のほか、ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリのポンピドゥー・センター、東京の森美術館でも展示。2004年に芸術高等教育機関をバマコに創設し、教育者としても活躍しています。

主な作品発表・受賞歴
2017
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)
2016
個展、アルケン近代美術館(コペンハーゲン、デンマーク)
2014-2015
「ザ・ディヴァイン・コメディ(神聖なコメディ)」Museum für Moderne Kunst, Frankfurt(フランクフルト、デンマーク)/SCAD, Savannah(サバンナ、ジョージア州、米国)/スミソニアン協会国立アフリカ美術館(ワシントンD.C.、米国)
2007
ドクメンタ12(カッセル、ドイツ)
2007
「アフリカ・リミックス」クンスト・パラスト美術館(デュッセルドルフ、ドイツ)/ヘイワード・ギャラリー(ロンドン、英国)/ポンピドゥー・センター(パリ、フランス)/森美術館(東京)

展示情報

AC38

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分