今、を生き抜くアートのちから

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アンドレ・コマツAndré Komatsu

  • 1978年サンパウロ(ブラジル)生まれ。
  • サンパウロ(ブラジル)拠点。

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半透明のビニールシートで仕切られた巨大な空間は、迷路のようになっています。仕切りは工事現場などで使われる素材ですが、ブラジルのファベーラ(スラム)建築や、コロナ禍下で人と人の間を分断してきたアクリルパネルも連想させ、迷路構造は世界を包み込む先行きの不透性、不確実性も暗示します。また天井から吊されたメガホンやハンマーは、いずれも街頭デモンストレーションや労働運動を連想させ、公共工事、あるいは都市空間、社会の権力構造などへの抵抗と読むことができるでしょう。柱を覆う新聞紙も含め、コマツの関心がひろく社会に向けられていることは明らかです。

アンドレ・コマツは日系三世のブラジル人。彼が育った時代のブラジルは、20年以上続いた軍事政権から民主政権への移行期にあたります。80年代末には禁止されていたストライキが認められ、労働者の権利にも大きな変化がありました。経済的にも2000年代以降、著しい経済成長を遂げたBRICs諸国のひとつに数えられています。コマツの作品はこうした政治や社会的動向に深くコミットしていますが、一方で美術の文脈から考えれば、本芸術祭のキュレトリアル・アドバイザーであるトビアス・オストランダーが「1950年代以降、ユートピア的モダニズムの理想として推進されてきたブラジルの構成主義の美学を、美術と建築の両方で継承している」と説明するように、従来の多様なモダニズムを今日的なかたちで反映しているともいえるでしょう。

コマツは第56回ヴェネチア・ビエンナーレ(2015、イタリア)のブラジル館、「Avenida Paulista」サンパウロ美術館(2017、ブラジル)などに出品しています。

主な作品発表・受賞歴
2017
「Avenida Paulista」サンパウロ美術館(ブラジル)
2015
第56回ヴェネチア・ビエンナーレ、ブラジル館(イタリア)
2014
「Beyond the Supersquare」ブロンクス美術館(ニューヨーク、米国)

展示情報

《失語症》2022

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《失語症》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分

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