今、を生き抜くアートのちから

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バイロン・キムByron Kim

  • 1961年サンディエゴ(米国)生まれ。
  • ニューヨーク(米国)拠点。

AC37

一列に並んで展示された絵画は、バイロン・キムが2001年に始めた連作「サンデー・ペインティング(日曜絵画)」シリーズのうち、2020年2月から2021年2月にかけて描かれた52点です。アマチュアの画家をさす「サンデー・ペインター(日曜画家)」も連想させるタイトルですが、キムは実際にほとんど毎週日曜日の空を描き、その日の気持ちを記した短いテキストを書き込んでいます。ちょうど新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、先の見通しが全く立たない未曾有の時間に、キムが家族や友人、自身の制作などパーソナルな対象と、カリフォルニアの山火事、アメリカ大統領選、ワクチン接種など社会的な動向との間で翻弄され、葛藤しながらも誠実に時間を過ごしてきた様子を窺い知ることができます。また、小さな記憶の窓を覗いたような空の絵画は、世界のどこでどのような状況にあっても、私たちが同じ空の下にいることを実感させるものでもあります。

韓国系アメリカ人のバイロン・キムは、1993年のホイットニー・ビエンナーレ(米国)で人種の多様性を数百点の異なる肌色のパネル画として凝縮し、これらをグリッド状に展示した《提喩(Synecdoche)》で注目を浴びました。集団の肖像画ともいえるこのシリーズは、現在も継続されています。これら一定のコンセプトに基づいて継続される作品には、河原温が日々の日付を絵画にした「Today」シリーズ(1966–2013)や、ポストカードでメッセージを発送したシリーズなどの影響も見ることができるでしょう。「サンデー・ペインティング」は、ミニマル・アートやコンセプチュアル・アートの美学を継承しつつ、心の機微が静かに響くエモーショナルな作品でもあります。

主な作品発表
1993
ホイットニー・ビエンナーレ(ニューヨーク、米国)
  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《サンデー・ペインティング》 2020-2021
  • Courtesy of the artist and James Cohan
  • 撮影: ToLoLo studio

展示情報

《サンデー・ペインティング》2020-2021

AC37

開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分