今、を生き抜くアートのちから

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ファニー・サニンFanny Sanín

  • 1938年ボゴタ(コロンビア)生まれ。
  • ニューヨーク(米国)拠点。

AC13

ファニー・サニンは50年以上一貫して、平面的な色面と直線によるシンメトリーな抽象絵画の制作を続ける画家です。コロンビアの大学を卒業したばかりの1960年代初頭、サニンは激しい筆致による非具象の絵画の制作を始めました。1960年代後半、ロンドンに留学していたサニンは、ニューヨーク近代美術館から巡回した記念碑的な展覧会「アート・オブ・ザ・リアル」を見て感銘を受けます。そこにはアメリカで活動するフランク・ステラやエルズワース・ケリーなどによる、「ミニマリズム」や「ハード・エッジ」と呼ばれたシンプルで平面的な形態をシャープな線によって区切った大きな絵画が展示されており、それ以降のサニンの作品に決定的な影響を与えました。1970年代初頭には、垂直・水平線と厳格な左右対称性による画面構成があらわれ、徹底して絵画の美的な側面を追求するという、現在にもつながるスタイルを確立しています。

今回出展されている9点の絵画は2008年から2021年までに描かれたもので、赤、黄や茶などの暖色が使われ、垂直と対角線方向に置かれた帯や、中央を横切って画面に安定感をもたらす水平線が見られることが特徴でしょう。これらの様式的な特徴は、テキスタイルや神殿などを想起させるが、彼女は決してモチーフの存在を示唆しません。抽象芸術において重要なのは、現実の事象を参照しないことで、それが絵画の「純粋性」を担保するとサニンは考えているのです。

ファニー・サニンは、1960年にロス・アンデス大学(コロンビア)で美術の学士を取得後、イリノイ大学(米国)で美術史と版画を学び、1963年にメキシコに移る。同年、メキシコで最初の展覧会(1964、モンテレイ/1965、メキシコシティ)と最初の美術館展を開催(1965、ボゴタ)。1966年にロンドンに移住し、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツとセントラル・スクール・オブ・アートで版画を学ぶ。1971年からニューヨークに居を移し、現在まで同地で活動している。

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio

展示情報

AC13

開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分