今、を生き抜くアートのちから

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フロレンシア・サディールFlorencia Sadir

  • 1991年サン・ミゲル・デ・トゥクマン<トゥクマン>(アルゼンチン)生まれ。
  • カファヤテ、サルタ(アルゼンチン)拠点。

TK10

旧青木製陶所は、窯の残るこの棟だけでなく、そこに連なるいくつかの棟全体で一つの工場となる製陶所で、各部屋での工程を経て様々な陶製品が生み出されていました。窯だけでなく、梁や土の壁で形づくられたこの建物全体が、常滑の土と炎によって多くの陶製品が生み出されてきたことと、そこで多くの人が生きてきたという歴史を静かに伝えています。

フロレンシア・サディールは、黒い小さなボールが連なった作品《泥の雨》(2021)をこの建物の一角に吊り下げました。大きなカーテンのように空間に広げられたこの作品は、地元常滑の陶芸家である水上勝夫とのコラボレーションによって生み出されたものです。常滑の土を使って彼や地元の若い陶芸家たちがつくり上げた1万2千個以上のボールを、サディールが水上らとともに野焼きをして仕上げました。

アルゼンチン、サルタ州のカファヤテで育ったサディールは、自身が暮らす場所に根付いた文化と対話しながら、しばしば友人や地元の人々と共同で活動し、大地と人間とのつながりを可視化する作品を生み出してきました。アルゼンチンのカルチャキ渓谷では、8月になると「ゾンダ」と呼ばれる乾燥した暖かい風が吹き、アンデス山脈の東の麓に多くの土を運び、砂嵐が何千キロもの距離にわたって砂埃をあげるため、ときには泥の雨が降るといいます。サディールはこうしたアルゼンチンの風景から作品の構想を広げ、風や水、そして炎の力によって変化する大地のエネルギーを伝えています。

主な作品発表・受賞歴
2021
個展「まだ影の中にある物」サルタ現代美術館(アルゼンチン)
個展「Inside there is nothing but a dwelling」ブエノスアイレス現代美術館(アルゼンチン)
2018
個展「名前のない場所」レコレタ文化センター(ブエノスアイレス、アルゼンチン)

展示情報

TK10

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《泥の雨》 2021
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
水曜日
会場・アクセス
旧青木製陶所
  • 名鉄「常滑」駅下車 徒歩10分

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