今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

服部 文祥石川 竜一Hattori Bunsho+Ishikawa Ryuichi

TK04

服部文祥+石川竜一は、2015年より登山を中心に協働してきました。服部は東京都立大学在学中より本格的な登山を始め、1996年にK2(8611m)登頂。その後、冬期の北アルプス剱岳で初登攀などを経て、「サバイバル登山」と自ら名付けたスタイルを実践しています。一方、石川は沖縄国際大学社会文化学科在学中に写真と出会い、2010年に写真家・勇崎哲史に師事。その後、第35回写真新世紀佳作(2012)、第40回木村伊兵衛写真賞(2015)などの受賞も経験しています。

本芸術祭では再びタッグを組み、2021年10月9日から11月7日までの約一か月間、徒歩による北海道南西部での旅をもとにした新作を制作。常滑の土管製造最盛期に稼働していた工場である旧丸利陶管の一角に展示します。

服部と石川、さらに服部の愛犬・ナツを伴った今回の旅は、金銭や携帯電話を持たない代わりに、猟銃・いくらかの米・調味料だけを持ち、木古内町から出発。いったん南下し、北海道最南端にある白神岬から再度北上。大千軒岳を抜け、かつて尾張徳川藩の士族によって開拓された八雲町を通り、道南最高峰の狩場山、秘湯と呼ばれる金花湯を経て、長万部岳に至ります。

ここでは、その旅のなかで獲った鹿の頭骨標本や皮、石川による写真、服部によるテキスト集、さらに焚き火、会話の音源、道中で採集された小石などを複合的に構成したインスタレーションを展開し、彼らが「旅」という反復不可能な行為として実施した身体表現の再表象を試みます。

これまでの二人の協働から生まれたものに、服部の著書『獲物山』『獲物山II』笠倉出版社(2016、2019)、石川の写真集『いのちのうちがわ』赤々舎(2021)や展覧会「CAMP」(東京、台湾、石川、大阪、沖縄を巡回、2016)があります。また、服部の近著は書評集『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』本の雑誌社(2021)、『サバイバル家族』中央公論新社(2020)など。石川の近年の展示に、リボーンアート・フェスティバル2019(宮城)、「Oh!マツリ☆ゴト昭和・平成のヒーロー&ピーポー」兵庫県立美術館(2019)などがあります。

※サバイバル登山:
長期山行において、食料を現地調達し、現金や装備を極力廃した登山スタイルのこと。

服部 文祥

  • 1969年神奈川県生まれ。
  • 神奈川県拠点。
主な作品発表・受賞歴
2021
『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』
2020
『サバイバル家族』
2017
『息子と狩猟に』31回三島由紀夫賞候補
2016
『ツンドラ・サバイバル』第5回梅棹忠夫・山と探検文学賞
1996
K2(8611m)登頂
  • 服部文祥 《2016年北海道増毛山塊徳富川》 2016
  • Photo: 亀田正人

石川 竜一

  • 1984年沖縄県生まれ。
  • 沖縄県拠点。
主な作品発表・受賞歴
2019
リボーン・アートフェスティバル2019(宮城)
「Ohマツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」兵庫県立美術館
2017
「日産アートアワード2017:ファイナリスト5名による新作展」BankART Studio NYK(神奈川)
2015
第40回木村伊兵衛写真賞
2012
第35回写真新世紀佳作
  • 石川竜一 《雉の背と尾 北海道》 2018、「いのちのうちがわ」より
  • Courtesy of the artist

展示情報

《THE JOURNEY WITH A GUN, AND NO MONEY―北海道無銭旅行》2022

TK04

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《THE JOURNEY WITH A GUN, AND NO MONEY―北海道無銭旅行》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
水曜日
会場・アクセス
旧丸利陶管
  • 名鉄「常滑」駅下車 徒歩7分