今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

ジャッキー・カルティJackie Karuti

  • 1987年ナイロビ(ケニア)生まれ。
  • ナイロビ(ケニア)拠点。

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ジャッキー・カルティのインスタレーションは、かつての看護学校の図書室や多くの部屋に残る、壁時計から始まります。ここで時計の針は、様々な対象をめぐって思考を拡げる手段となります。すなわち、時間、創造と労働、身体解剖学と義肢、地球の破壊と支配、アクセスとケア、そして人間以外のコミュニケーションについて考える方法としての動物の象徴などです。

カルティは、動画、彫刻、スキャン、ドローイング、電気機器を用いることによって、図書館を知識にアクセスし生産する場所としてだけではなく、通常の人間の言語や理解を越えて想像力が投影される手術室としても位置づけます。さらに彼女は、図書館は知識人のためだけでなく、労働者のための場所でもあると言います。このことは特に、彼女が、フクロウとカラスというそれぞれ知恵と技術を象徴する鳥を使うことからも見てとれます。フクロウは無言の観察者であり、カラスは騒がしい掃除人であるというように、並置されることにより、両者は正反対でありながら必要な意味をそれぞれに担っています。

本作は、図書館を(病院の)劇場とリンクさせる、拡張されたマルチメディア経験となります。そこでは複数の観察と変換が行われ、それらは空間を休むことなく構築し、照射し続ける機械によって動作しているようにも見えます。

ケニヤのナイロビを拠点とするカルティは、科学知識がことばやイメージの形式をとる方法に注目し、ビデオ、パフォーマンス、ドローイングを通して、現実の生における社会現象や自然現象に想像力がいかに介在し、影響するかについての熟考を促します。これまでのプロジェクトに、参加者がさまざまな図書館を訪れ、本の埃を払い、それらについて話すという《イン・ザ・ケース・オブ・ブックス》(2013–2015)などがあり、近年の発表歴にはダカール・ビエンナーレ(2018、セネガル)やロフォーテン国際芸術祭(2019、ノルウェー)への参加、ナッサウ芸術協会での個展(2021、ドイツ)などがあります。

主な作品発表・受賞歴
2021
個展「Shapeshifting & the Impossibility of Weathered Wood」Nassauischer Kunstverein Wiesbaden (ドイツ)
2019
ロフォーテン国際芸術祭(ノルウェー)
2018
第13回ダカール・ビエンナーレ(セネガル)
2013-2015
図書館プロジェクト「In The Case of Books」(ナイロビ、ケニア/カンパラ、ウガンダ)

展示情報

《エレクトロニック・シアター》2022

IC10

  • 国際芸術祭「あいち2022」 展示風景
  • 《エレクトロニック・シアター》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
旧一宮市立中央看護専門学校(3階)
  • JR「尾張一宮」駅下車 徒歩16分
  • 名鉄「名鉄一宮」駅下車 徒歩16分