今、を生き抜くアートのちから

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小寺 良和Kodera Yoshikazu

  • 1957年愛知県生まれ。
  • 愛知県拠点。

AC33

木の根のような突起が飛び出ているもの。不定形の穴が空いているもの。網目越しに内部の空洞が透けて見えるもの。作者の小寺良和はこれらの陶芸作品を「バクダン」と呼んでいます。突起部分は、破裂するエネルギーを形にしたものでしょうか。「バクダン」でありながらぬらぬらと光るこれらは、未知の海洋生物のような有機的な質感を持ちます。また、小寺は偶然見たニュース映像から爆弾の存在を知って強い衝撃を受け、「バクダン」シリーズを制作し始めたそうです。このエピソードは、障害のある美術家の草分けの一人、山下清が、美しい花火に戦争の記憶を重ね合わせたことも想起させます。

小寺良和は20代から福祉施設に暮らし、販売用のマグカップや雑貨を陶器でつくってきました。しかし、小寺はそれら製品とは異なる独自の「作品」も制作し、展覧会で評価され始めます。そして、休みなく土を捏ねる彼の姿に感嘆したスタッフの尽力により、15年ほど前から、自身の創作活動に集中できる環境が用意されました。今なお、陶土があればあるだけつくり続ける小寺の姿は、まさに、つくることと生きることが直結しているかのようです。特定非営利活動法人フロール会の主催する公募展「生(いのち)の芸術フロール展」(1999–2008)に毎年出展。愛知県知的障害児者生活サポート協会による公募展「ふれあいアート展」(2008–)の第8回(2015)、第9回(2016)にて名古屋市社会福祉協議会会長賞を受賞、第10回(2017)にて大賞を受賞します。また、「あいちアール・ブリュット展」(2014–)でも、たびたび優秀作品に選ばれています。

主な作品発表・受賞歴
2014-
「あいちアール・ブリュット展優秀作品」
2008-
公募展「ふれあいアート展」(第8回と第9回にて名古屋市社会福祉協議会会長賞、第10回に大賞を受賞)
1999
公募展「生(いのち)の芸術 フロール展」(2008年まで毎年参加)

展示情報

「バクダン」2011-2022

AC33

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 「バクダン」 2011-2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分