今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

黒田 大スケKuroda Daisuke

  • 1982年京都府生まれ。
  • 京都府拠点。

TK09

リサーチを通じて、社会のなかに佇み、忘れられ、無視された幽霊のような存在を見出し、映像やインスタレーションをつくる黒田大スケ。近年は、これまで制作の拠り所としてきた「彫刻」について研究を進め、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとしたパフォーマンス性の高いシリーズを展開しています。1958年から稼働していた窯がそのままの状態で今なお残るここ旧青木製陶所にて、常滑に約半年間にわたって滞在し制作を行ってきた成果を展示します。

会場に漂う話し声は、黒田が即興的に行うパフォーマンスを記録したもの。常滑美術研究所でかつて教佃をとっていた彫刻家(内藤陽三、寺内信一、菊池鋳太郎)の自演を通じて、明治近代に日本に移入された「彫刻」という概念が内面化してきた美学や規範の現前を試みます。また壁に掛けられている石膏レリーフは、この土地の忘れられた存在を風景化した象徴であり、さらに本フロアの上階では、煉瓦造りの煙突や煤が付着した雀など、常滑の景色を題材とした土笛を展示。会期後半には、大勢で笛に「息を吹き込む」イベントをINAXライブミュージアムにて実施し、この場所の地霊(ゲニウス・ロキ)を儀式的に呼び出します。その近くにある机上のモニターでは、黒田演じる彫刻家たちのオンラインミーティングが実施されており、窯業と彫刻の交接点となった常滑を様々なイメージや媒体で召喚します。これら黒田の身体を依代とする表現は、この地で忘却された人物や事象を現代に蘇らせ、影として扱われた部分を再び物語化しているといえるでしょう。

黒田の近年の主な展覧会に、「『どこかで?ゲンビ』and DOMANI@広島『村上友重+黒田大スケ in 広島城二の丸』」(2022、広島)、「未然のライシテ、どげざの目線」京都芸術センター(2021)、「祝祭の気配」トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー(2021、東京)などがあります。作品制作だけではなく、「対馬アートファンタジア」(2011–、長崎)や「本のキリヌキ」瑞雲庵(2021、京都)などで展覧会の企画・運営も行っています。

主な作品発表・受賞歴
2022
「『どこかで?ゲンビ』 and DOMANI @広島『村上友重+黒田大スケ in 広島城二の丸』」
2021
「未然のライシテ、どげざの目線」京都芸術センター
2021
「祝祭の気配」トーキョーアーツアンドスペースレジデンシー

展示情報

TK09

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
水曜日
会場・アクセス
旧青木製陶所
  • 名鉄「常滑」駅下車 徒歩10分