今、を生き抜くアートのちから

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ローリー・アンダーソン & 黄心健(ホアン・シンチェン)Laurie Anderson & Huang Hsin-Chien

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《トゥー・ザ・ムーン》は、音楽家でありメディア・アートの先駆者でもある、米国のローリー・アンダーソンと、台湾を代表するニューメディア・クリエイター、黄心健(ホアン・シンチエン)による共作。人類の月面着陸50周年を記念して、デンマークのルイジアナ近代美術館が委嘱した最初のバージョンではVR作品として発表。その後、映像インスタレーションにVRが組み込まれた本展のバージョンは、2019年にマンチェスター国際フェスティバルで初めて発表されました。

古今東西の神話、文学、科学、政治からインスピレーションを得た本作のストーリーは、壁と床の4面に宇宙のイメージが投影される迫力の映像と音響を伴って、観客を月面の旅へと誘います。続く15分間のVR(予約制)では、観客自身が宇宙飛行士となり、文学的な6つのシナリオ(星座/DNAの博物館/テクノロジーの荒地/石の薔薇/雪の山/ドンキー・ライド)に導かれながら、低重力の月面を歩いたり飛んだりする体験がもたらされます。宇宙に対する人類の果てしない夢と希望を、国家間の利権争いすら風刺する遊び心をもって理想主義的に視覚化した本作は、月面着陸にまつわる歴史の追想と、民族や国家等の枠組みを超えたアンダーソン&黄の壮大なビジョンと慈愛をもたらします。

ローリー・アンダーソンは、パフォーマー、作曲家、作家といった多彩な顔を持つアーティスト。1970年代よりコンセプチュアル・アート等に触発を受け、多領域で活動を行ってきました。2002年には《トゥー・ザ・ムーン》につながるNASA初のアーティスト・イン・レジデンス。2005年の愛知万博では、インスタレーション作品《WALK》やパフォーマンス作品《10枚のポストカード》を発表しました。

黄心健は、アート、デザイン、エンジニアリング、電子ゲームを専門とし、愛知万博や本作などでアンダーソンと数々のコラボレーションを実現。黄個人の作品は、ヴェネチア映画祭(イタリア)、カンヌ映画祭(フランス)、国立台湾美術館(台中)、上海ビエンナーレ(中国)、ヴェネチア・ビエンナーレ、ニューヨーク近代美術館(米国)、アルスエレクトロニカ(リンツ、オーストリア)など、世界各地で発表されています。

ローリー・アンダーソン

  • 1947年シカゴ(米国)生まれ。
  • ニューヨーク(米国)拠点。
主な作品発表・受賞歴
2022
個展「The Weather」、スミソニアン/ハーシュホーン美術館(ワシントンD.C., 米国)
2022
《ライフ・オン・ア・ストリング》
2005
個展「時間の記録」、NTTインターコミュニケーションセンター[ICC](東京)
2005
《WALK》/パフォーマンス作品《10枚のポストカード》、「愛・地球博」(愛知)
2002
NASA初のアーティスト・イン・レジデンス
1986
《ホーム・オブ・ザ・ブレイヴ》
1984
初来日公演(東京/大阪)
1981
《オー・スーパーマン》

黃心健(ホアン・シンチェン)

  • 1966年台北(台湾)生まれ。
  • 台北(台湾)拠点。
主な作品発表・受賞歴
2020
名誉賞受賞、アルス・エレクトロニカ・フェスティバル(リンツ、オーストリア)
2019
《トゥー・ザ・ムーン》(VRインスタレーション)/《ボディレス》(VRインスタレーション)ヴェネチア国際映画祭(イタリア)
2019
《ミッシング・ボディ EP1》(VRインスタレーション)カンヌ国際映画祭(フランス)
2016
個展「ザ・サイキック・オブ・ライト・プロジェクト」国立台湾美術館(台湾)
2013
第55回ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)
2008
第7回上海ビエンナーレ(中国)
2011
《パペット・モーテル、ローリー・アンダーソン・ウィズ・シンチェン・ホァン》「ルッキング・アット・ミュージック 3.0」ニューヨーク近代美術館(米国)

展示情報

《トゥー・ザ・ムーン》2019

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《トゥー・ザ・ムーン》 2019
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分