今、を生き抜くアートのちから

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ミシェック・マサンヴMisheck Masamvu

  • 1980年ペンハロンガ(ジンバブエ)生まれ。
  • ハラレ(ジンバブエ)拠点。

AC08

抽象と具象の間を揺れ動くミシェック・マサンヴの作品は、過去を扱いながら、世界での在り方について探求するものです。その何層にも重ねられ、ほとんど直感的に描かれている表面や絵筆の跡は描くという身体的な行為の痕跡として存在し、無数の時間軸があることが感じられます。描かれたイメージの表面の下には、さらに限りないイメージが存在しているのです。抽象化の過程でまさに変形する真っ只中で、マサンヴの具象的なイメージは出現し、溢れ出す風景に吸い込まれていくようです。

マサンヴはこれらの絵画を世界的なロックダウンの最中に制作しました。作品には、移動できない状態を強いられた内なる葛藤が表現されています。キャンバスの表面は激しく揺れ動き、突然変異の行為を捉えたようです。この変化と絡み合いがシンクロするような行為は、鮮やかな色彩と織りなすような線の多用を通じて明らかになっていきます。結果として、イメージはすぐにそれとわかるようなものというよりも、むしろ何層ものカモフラージュに覆われたようになり、見る人が自分の頭の中でイメージを膨らませるように仕向けます。痕跡を残していくようなマサンヴの表現は、正確な意味を失っているがゆえに、アーティストと鑑賞者の間に率直な会話を生み出します。マサンヴの作品は、移り変わる彼の視覚的な語彙を体験するよう誘い、そしてマサンヴ自身の個人的な歴史の層を掘り下げるよう促します。全体として、彼の絵を見る経験は、見る人自身がもつ葛藤を意識させるものになるでしょう。

近年は、個展「Talk to me while Iʼm eating」グッドマン・ギャラリー・ロンドン(2021、英国)、「Allied with Power」ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(2020、米国)、第22回シドニー・ビエンナーレ(2020、豪州)に参加。また、第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011、イタリア)にはジンバブエ代表作家として参加しました。

主な作品発表・受賞歴
2021
個展「Talk to me while I’m eating」グッドマン・ギャラリー・ロンドン(英国)
2020
「Allied with Power」ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(米国)
2020
第22回シドニー・ビエンナーレ(豪州)
2021
第54回ヴェネチア・ビエンナーレ、ジンバブエ代表(イタリア)

展示情報

AC08

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分