今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

迎 英里子Mukai Eriko

  • 1990年兵庫県生まれ。
  • 秋田県拠点。

IC19

迎英里子はこれまで、屠畜や石油の採掘、国債の仕組みや水蒸気の循環など、不可視のシステムをモチーフとしたパフォーマンスを制作してきました。素材の物質性が強く現れる状態を「彫刻」と考え、主題となった社会や自然界にある現象の仕組みを等身大の装置へ変換し、動作させます。それにより、「人間の身体性」ではなく、パフォーマンスを通して表出する「物質の身体性」そのものを見せることに重きを置いています。

ここ墨会館は、愛知県内にある唯一の丹下健三が手がけた建築です。紆余曲折を経て1957年に完成したこの建物もまた、柱や壁はコンクリートのままで、型枠の木目・節のあとが剥き出しで残された物質性の強いものです。迎はこの近代的建築の中庭で、紡績および毛織産業で有名な尾西市(現・一宮市)でのリサーチをもとにしたパフォーマンスを実施。併せて、毛織の生産工程をいくつかの要素に分解し、高度に抽象化した装置とともに、かつて操作された「物質の身体性」の記録を展示します。象徴的な行為への推測と身体感覚を横断しながら、やがて対象へたどり着くイメージをつくり出す当作家の活動は、現代美術とパフォーミングアーツが共存してきたあいちトリエンナーレの歴史を踏まえつつも、領域やフレームに囚われない有機的な実践のひとつといえるでしょう。

迎が参加した主な展覧会に、個展「300/500000(1942)」広島芸術センター(2021)、「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」秋田県立近代美術館(2020)、「不純物と免疫」トーキョーアーツアンドスペース本郷(2017)、「新しいルーブ・ゴールドバーグ・マシーン」(2016、KAYOKOYUKI/駒込倉庫、東京)などがあります。

主な作品発表・受賞歴
2021
個展「300/500000(1942)」広島芸術センター
2020
「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」秋田県立近代美術館
2017
「不純物と免疫」トーキョーアーツアンドスペース本郷
2016
「新しいルーブ・ゴールドバーグ・マシーン」KAYOKOYUKI/駒込倉庫(東京)

展示情報

《approach 13.0》2022

IC19

  • 国際芸術祭「あいち2022」 展示風景
  • 《approach 13.0》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
尾西生涯学習センター墨会館
  • JR「尾張一宮」駅または名鉄「名鉄一宮」駅下車 徒歩2分 バス停「一宮駅」名鉄バス乗車12分 バス停「尾張中島」下車徒歩9分