今、を生き抜くアートのちから

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ニーカウ・へンディンNikau Hindin

  • 1991年オークランド(タマキ・マカウラウ)、ニュージーランド(アオテアロア)生まれ。
  • ギズボーン(ツゥランダヌイ・ア・キア)、ニュージーランド(アオテアロア)拠点
  • ※( )内はマオリ語での名称

TK07

直線的なデザインと美しいラインが描かれたニーカウ・ヘンディンの作品は、カジノキ(梶の木)の樹皮を打ち延ばして作られるバーククロス(樹皮布)に描かれています。オセアニアの島嶼国ではバーククロスの文化が広く浸透しており、国ごとに異なる名称や製法があります。ニュージーランドの先住民族マオリの文化では、植物としてのカジノキとそのバーククロスを「アウテ(aute)」と呼んでいます。ヘンディンは絵画のパターンにトゥクトゥク(tukutuku)やターニコ(tāniko)といったマオリ伝統の織物デザインを参照し、マオリの祖先が星の動きを利用した伝統航海術や旧暦などを反映しています。ヘンディンの星図において、横軸は地平線上の星の位置を示し、縦軸は星が天空に登り、沈んでいく時間を表しています。

ニーカウ・ヘンディンの実践は、一世紀近くも途絶えていたアウテの伝統を現代に蘇らせ、マオリの祖先がその系譜を通じて、壮大な宇宙の営みのなかに人間の存在を記録してきた歴史にも光をあてるものです。作品が展示されている瀧田家は、江戸時代から明治期にかけて廻船問屋として栄えました。常滑が尾張や三河地方を江戸や伊勢湾周辺、上方とつなぐ交通の要衝であった歴史を伝えるこの場所も、荒廃した建物を地域の人々が蘇らせたものです。

バーククロスづくりも航海も、季節や天候など自然の大いなるちからに依存しています。自然界の営みを感受し、自然環境とともに生きてきた先住民の叡知は、地球規模の気候変動が喫緊の課題になっている今日、私たちに多くのヒントを与えてくれるものです。ヘンディンが長い時間をかけて制作した作品を通して、私たちも過去から未来に向けた壮大な時間を想像することができるでしょう。

主な作品発表・受賞歴
2022
カトマンズ・トリエンナーレ(ネパール)
2021-2022
「Naadohbii」ウィニペグ美術館(カナダ)
2021
カトマンズ・トリエンナーレ(ネパール)
2020
pasapkedjinawong, マッケンジーアートギャラリー(カナダ)
2020
個展「Kōkōrangi ki Kōkōwai」ダウズ美術館(ニュージーランド)

展示情報

TK07

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
水曜日
会場・アクセス
廻船問屋 瀧田家
  • 名鉄「常滑」駅下車 徒歩10分

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