今、を生き抜くアートのちから

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ニャカロ・マレケNyakallo Maleke

  • 1993年ヨハネスブルグ(南アフリカ)生まれ。
  • ヨハネスブルグ(南アフリカ)拠点。

IC14

一列に連なる三つの部屋は、かつて一宮市立中央看護専門学校の応接室、会議室、そして校長室でした。そこではどのような話が交わされていたのでしょうか? 南アフリカ拠点のアーティスト・文筆家であるニャカロ・マレケは、インスタレーション、ドローイング、版画、パフォーマンス、文学など多様なメディアで表現をしてきました。なかでも薄い紙やプラスチックに刺繍、パステル、木炭などで抽象的な図柄を描いた絵巻のようなドローイングは、詩や言葉を紡いだ美しく繊細な物語のようです。

自然光が入るこの場所では、あたかも三つの部屋を貫通する物干しロープのようにワイヤーが張られ、それを支えにした言葉、ドローイング、ファウンドオブジェクトなどで空間が構成されています。部屋の内側と外側、隣接する相互の空間、あるいはマレケ自身のヨハネスブルグから一宮市への移動も含め、空間と時間の連続、分断、移動、循環などを想像することができるでしょう。

タイトル《一日中頭の中にある場所》は、ニャカロ・マレケが長らく実際の展示を空想していたことも暗示します。また、触ると壊れてしまいそうな作品の繊細さは、目が覚めると消えてしまう夢、あるいは現実社会の構造や人々の感情、命の儚さなどを象徴していると考えることもできます。

マレケは自身の制作姿勢について、直観的かつ個人的なもので、日常のなかから紡ぎ出されるものだと言います。その日常の暮らしがいかに脆弱なものであるかを世界が実感したいま、彼女のインスタレーションにある、いと小さきもの、弱きものたちの物語に、私たちはいかに耳を傾けることができるのでしょうか。

主な作品発表・受賞歴
2022
「Scenorama」Javett Art Centre UP(プレトリア、南アフリカ)
「Time Is A Broken Umbrella」(AVA Gallery、KZNSA Gallery、FORMS Galleryとの共催)AVA Gallery/KZNSA Gallery(南アフリカ)
2021
「Territories Between Us」Iziko Museums(ケープタウン、南アフリカ)
「The Cultural Life of Spaces」AVA Gallery(ケープタウン、南アフリカ)

展示情報

《一日中頭の中にある場所》2022

IC14

  • 国際芸術祭「あいち2022」 展示風景
  • 《一日中頭の中にある場所》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
旧一宮市立中央看護専門学校(1階)
  • JR「尾張一宮」駅下車 徒歩16分
  • 名鉄「名鉄一宮」駅下車 徒歩16分