今、を生き抜くアートのちから

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河原 温On Kawara

  • 1932年愛知県生まれ。
  • ニューヨーク(米国)を拠点に活動。2014年、同地にて没。

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河原温は国際的に広く知られるコンセプチュアル・アーティストの一人です。本芸術祭出品の電報を用いたシリーズ《I Am Still Alive》は、1970年に始められ、2000年までに約900通が世界各地の知人、キュレーターなどに送られました。電報はそもそも緊急性を伴う連絡手段ですが、「私はいまだ生きている」とは、河原が死に直面しているとも受け取られるメッセージです。この電報を受け取った人は、何を思ったでしょうか?パンデミック以降の世界では、とりわけ心を揺さぶります。

河原温は1969年12月に自殺をほのめかす3通の電報をパリの展覧会に送り、その1か月後に最初の《I Am Still Alive》がコレクターのヴォーゲル夫妻に送られています。これらを成立させているのは各地の電報や郵便制度ですが、これを30年間送り続けた行為そのものは彼の生存の証となりました。国際芸術祭「あいち2022」のテーマ「STILL ALIVE」の着想のもとになった本シリーズは、時間や空間を超えて、生存の根源的な意味を考えさせる最もシンプルかつ深遠なものといえるでしょう。

河原温は愛知県刈谷市で生まれ、1951年に上京し、1959年以降、中南米、北米、欧州等を歴訪した後、ニューヨークを拠点にその生涯を過ごしました。ほとんど公に姿を見せなかったことでも知られる河原は、1966年以降、その日の日付を48年間にわたってミニマルな文字のみで描いた約3,000点の《Today》シリーズ(1966-2013)、その日の起床時刻を記した短いメッセージを絵葉書で送った《I Got Up》シリーズ(1968-79)などで、存在や時間の意味を考えさせてきました。《One Million Years(百万年)》のシリーズでは、この捉えがたい「時間」の概念について、紀元前998031年から西暦1969年までを「過去」、西暦1981年から1001999年までを「未来」とし、全ての年数をタイプライターで文字化しました。本展ではその一部を読み上げたパフォーマンスの記録も聞いていただけます。

主な作品発表・受賞歴
1980-1981
個展、「河原温 連続/非連続 1963-1979」国立国際美術館(大阪)他
1991
個展、「河原温 反復と対立」ICA名古屋(愛知)他
2015
個展、「On Kawara ‒ Silence」グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、米国)

展示情報

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • © One Million Years Foundation
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分