今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

小野澤 峻Onozawa Shun

  • 1996年群馬県生まれ。
  • 東京都拠点。

AC01

フレームから吊り下げられた6つの振り子が、それぞれに動き続けています。ぶつかることなく見事に制御されているように見えて時折接触する、この一連の振り子の動きを追いながら、見る者は目が離せなくなります。小野澤峻は、物理の実験のようなこの作品《演ずる造形》(2021)をパフォーマンスとして捉えています。小野澤は中学時代にジャグリングに出会い、自らジャグリング・パフォーマーとしても活動してきました。古代エジプト時代にすでに存在していたとされるジャグリングは、修練によって人間の身体能力を拡張するという意味では、時代や地域を越えた普遍性をそなえていると考えられるでしょう。それを機械、あるいは動く彫刻に転じた《演ずる造形》は、コロナ禍によって世界の先行きが不透明になった時期に制作されました。それぞれの銀色の玉が衝突しないように制御されている状態から、それが一旦崩れ、再びもとの通りに美しい動作を再開する動きは、まさしく人間社会の秩序とその崩壊、そして回復のメタファーと捉えることもできます。ウィルスの世界的蔓延や戦争によって日常が一瞬にして奪われ、世界中の多くの人々が大切な命を失いました。そのなかで再び、日々の暮らしが戻ろうとしている今日。この《演ずる造形》を見つめながら、人間のレジリエンス(回復する力)に希望を託すこともできるかもしれません。

小野澤は東京藝術大学大学院の先端芸術表現専攻を修了後、「Media Ambition Tokyo」(2020、渋谷スクランブルスクエア/2021、森アーツセンターギャラリー)、「SenseIsland─感覚の島─暗闇の美術島」猿島(2022、神奈川)などに出品。2021年には「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」の一人に選出されています。

主な作品発表・受賞歴
2022
「Sense Island -感覚の島- 暗闇の美術島」(神奈川)
2020-2021
「Media Ambition Tokyo」渋谷スクランブルスクエア/森アーツセンターギャラリー(東京)
2019
「Smart Illumination Yokohama」象の鼻テラス(神奈川)

展示情報

《演ずる造形》2021

AC01

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《演ずる造形》 2021
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知芸術文化センター(B2Fフォーラム)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分