今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

パブロ・ダヴィラPablo Dávila

  • 1983年メキシコシティ(メキシコ)生まれ。
  • メキシコシティ(メキシコ)拠点。

AC12

映画やチベット仏教などを学んだパブロ・ダヴィラは、時間の概念や認識について掘り下げてきました。本芸術祭に出品される3点も、1/30秒から100億年以上という天文学的な時間まで、様々な時間を私たちに意識させてくれます。

会場奥にある《転移の調和》(2022)では、ランダムに生成された膨大な数値群が、白、黒、および二種類のグレーによるパターンに変換されて2.2×7.2mのLEDスクリーン上で動き続けています。ピクセル数は縦1800×横5000の高解像度。ダヴィラはこれをひとつの映画として捉え、スクリーンに表示できる限りすべての組み合わせを見せています。ただし何らかのイメージを認識できる確率は極めて低く、いつ終わるのかもわかりません。この数字のひとつを私たちの命と捉え、140億年前のビッグバンに始まった宇宙の時間に置いてみれば、それがいかにわずか一瞬であるかを実感できるでしょう。

一方、アナログのテープを2秒ほどに切ってつなぎ合わせた《フレンドリー・リマインダー》(2022)からは、弦楽器や女性のボーカルが繰り返し聞こえます。この作品では人間の一呼吸ほどの時間が意識されています。また、平面作品《フェーズ・ペインティング(忘却の自然な流れ)》(2022)には、レーザーでキャンバスを焦がして穴を空けることでミニマルなイメージが描かれています。これはコンピューター・グラフィックスなどに使われるパーティクル・システムを使って風、雲、雨、竜巻などのエフェクトを視覚化したもので、ひとつの瞬間に次の瞬間を重ね合わせることで、動きそのものを表現しています。

デジタルとアナログ、身体と宇宙、一瞬と永遠など相対する概念がひとつの空間に融合したこの展示は、私たちそれぞれの存在について静かに考える、瞑想の空間ともいえるでしょう。

主な作品発表・受賞歴
メキシコでの主な展示歴にルフィーノ・タマヨ美術館(メキシコシティ)、モンテレイ現代美術館、ホセ・ガルシア(メキシコシティ/メリダ)、トラヴェシア・クアトロ(グアダラハラ)など。その他、ザ・ピル(イスタンブール)、ポール・カスミン(ニューヨーク)など多数。

展示情報

AC12

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《転移の調和》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分