今、を生き抜くアートのちから

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ロバート・ブリアRobert Breer

  • 1926年デトロイト(米国)生まれ。
  • パリ(フランス)を拠点に活動。2011年ツーソン(米国)にて没。

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展示室に佇む大小4つの彫刻は、よくよく観察しなければ認知できない程ゆっくりとした速さで移動しています。大きなドーム型の《フロート》は、1970年に大阪で開催された日本万国博覧会で7つのプロトタイプが発表されており、ペプシ館の広場にアーティスト・中谷芙二子の「霧の彫刻」とともに展示されました。

樹脂や発泡プラスチックでできたブリアの作品の内部ではモーターと車輪が駆動しており、装飾を排したミニマルな彫刻でありながら、機械を組み込むことにより重力やメディウムの制約から逃れた命あるオブジェクトとなっています。一方、ブリアは晩年のインタビューで動く彫刻を「動物や人間のようにはしたくなかった」と述べており、機械仕掛けとすることで不動の彫刻とは異なる存在に仕立てつつも、生物には不可能な極めてゆっくりとした一定のスピードで動かすことで、彫刻とも生物ともいえない「動く塊」としてつくられています。

クライスラー社のエンジニアを父に持つロバート・ブリアは、はじめ出身地の米国デトロイトで工学を学ぶも、16歳でスタンフォード大学(カリフォルニア、米国)の美術学部に入学。1950年代初頭にパリで画家としてキャリアをスタートさせ、間もなく実験的なアニメーション作品の制作を開始。1959年の帰国後にはニューヨークへ移住し、60年代半ばにはゆっくりと動く抽象彫刻のシリーズを発表。1970年の大阪万博では、アートとテクノロジーの協働を標榜するグループ「E.A.T.」のメンバーとともにペプシ館のプログラム・デザインを担当しました。アニメーションの分野でも国際的に知られ、オーバーハウゼン国際短編映画祭のマックス・エルンスト賞(1969、ドイツ)、スタン・ブラッケージ・ビジョン賞(2005、デンバー、米国)などを受賞しています。1980年にはホイットニー美術館(ニューヨーク、米国)で初の回顧展が開催され、その後も世界各国で大規模な個展が開かれています。

主な作品発表・受賞歴
2021-2022
個展、アントニオ・ダレ・ノガレ財団(ボルツァーノ、イタリア)
2016
個展、シャルジャ芸術財団(2016年、アラブ首長国連邦)
2011
個展、バルティック現代美術センター(ゲーツヘッド、英国)
2011-2012
個展、ティンゲリー美術館(バーゼル、スイス)
2010-2011
個展、ボルドー現代美術館(フランス)
2005
スタン・ブラッケージ・ビジョン賞受賞(デンバー、米国)
1987
マヤデレン独立系映画およびビデオアーティスト賞受賞(ロサンゼルス、米国)
1981
フィルム・フォーラム外壁壁画制作(ニューヨーク、米国)
1980
回顧展、ホイットニー美術館(ニューヨーク、米国)
1969
マックス・エルンスト賞受賞、オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ)

展示情報

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分