今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

ローマン・オンダックRoman Ondak

  • 1966年ジリナ(スロバキア)生まれ。
  • ブラチスラヴァ(スロバキア)拠点。

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様々な出来事や場所への介入、再配置、またはその複製といったプロセスを創作の特徴とするローマン・オンダックの作品は、日常から出発します。彼はまるで人類学的調査のように生活の痕跡をシンプルかつ独自の方法で空間に並べ、意識することのない日々のルール、芸術システムや社会に対する違和感を前景化する作品を制作してきました。ときに家族、友人、美術館のスタッフ、観客を作品制作の共犯者として引き入れることを通して、社会的関係や人間の経験に対する新しい視点を生み出す試みも多くみられます。その背景には、スロバキアのポスト共産主義社会の行動様式や政治への観察があるといいます。

今回の出展作《イベント・ホライズン》(2016)は、1本のオークの木の幹を100枚に切断し、その年輪に応じた1917年から2016年までの歴史的な出来事を刻印した作品です。展示期間中、床面に設置されていた 各ピースは毎日1枚ずつ、壁に打ち付けられた金具に掛けられていきま す。会期最終日の10月10日には、すべての木製ディスクが壁面に移動します。このように本作は、人類の歴史とオークの木が歩んできた歴史を結びつけ、1本の木の断面から、現代世界の自然の営みや宇宙法則といった大局的な視点を想像させる作品だといえるでしょう。

オンダックのこれまでの個展に、「Perfect Society」エスター・シッパー(2019、ベルリン、ドイツ)、「History Repeats Itself」オールボー近代美術館(2017、デンマーク)、「The Source of Art is in the Life of a People」サウス・ロンドン・ギャラリー(2016、英国)などがあります。また、第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)にチェコ&スロバキア館代表として参加、2012年にはドイツ銀行の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。

主な作品発表・受賞歴
2021
個展「300/500000(1942)」広島芸術センター
2021
「Perfect Society」エスター・シッパー(ベルリン、ドイツ)
2017
「History Repeats Itself」オールボー近代美術館(デンマーク)
2016
「The Source of Art is in the Life of a People」サウス・ロンドン・ギャラリー(英国)
2012
ドイツ銀行「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選出
2009
第53回ヴェネチア・ビエンナーレ、チェコ&スロバキア館(イタリア)

展示情報

《イベント・ホライズン》2016

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《イベント・ホライズン》 2016
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分