今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

眞田 岳彦Sanada Takehiko

  • 1962年東京都生まれ。
  • 東京都拠点。

IC03

毛織物のまちを象徴するように、一宮市役所のロビーには、羊毛でできた作品が展示されています。これは造形家で繊維研究家の眞田岳彦が愛知の繊維文化に着目し、県内6都市7美術館・博物館とともに行った「あいちNAU(綯う)プロジェクト」の成果です。県内の様々な繊維の歴史について学んだ300人近い参加者が、羊毛を繰り返しより合わせ、眞田が樹木のような太い綱へとつくり上げました。愛知が継承してきた技術、愛知と世界の関係、人と人の関係、あるいは地域や自然との関係などが、「綯う」ことを通してひとつの芸術作品に昇華しています。

20代から世界各地を旅していた眞田は、30歳で数か月滞在した北極圏グリーンランドで、壮大な自然界の生態系のなか動植物とともに生きるイヌイットの人々に出会い、「生きる幸福とは、自身の足元にある」と気づきました。以降、日本人の暮らしのなかで育まれてきた繊維を通して「日々への感謝と幸福を探す行動をしたい」という思いから創作活動を続けています。

愛知に生きる豊かさは、約120万年前まで存在した東海湖がつちかった土地の「ちから」にあると眞田は考えます。湖畔に蓄積した土が陶磁文化を生み、その後、土が蓄積した広大な平野に植生した植物が繊維文化を育て、さらに繊維技術は、羊毛産業を育み、自動車、航空・宇宙産業への可能性を広げました。根元的技術である「綯う」には、この土地にうまれ、生きた先人たちがそれぞれの「今、を生き抜いた」痕跡、葛藤、喜び、希望、そして祈りが込められているのです。

主な作品発表・受賞歴
2008-
コットンプロジェクト(東京)
2002-
アンギンプロジェクト(新潟)

展示情報

あいちNAUプロジェクト《白維》2022

IC03

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • あいちNAUプロジェクト《白維》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:15

※入館は閉館の15分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)

※展示会場で掲出しているテキストをPDFで読んでいただくことが可能です。 (PDF/2.2MB)

会場・アクセス
一宮市役所
  • JR「尾張一宮」駅下車 徒歩10分
  • 名鉄「名鉄一宮」駅下車 徒歩10分