今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

笹本 晃Sasamoto Aki

  • 1980年神奈川県生まれ。
  • ニューヨーク(米国)拠点。

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障子が組み込まれたパネル、玄関扉、シャッター。いずれも実際の建具ですが、よく見ると、二重の障子の間には疑似餌やスポンジなどが隠され、扉には必要以上に多くののぞき穴が付いています。シャッターの向こう側に車や店舗はありません。一見リアルでありながらどこにも辿り着くことがない舞台の書割にも似たこれらは、アクセス(の可能性)の概念に形態を与え、内と外を露にし、意味を反転させる象徴としての「純粋な出入口」といえるでしょう。これらは、笹本晃の新作インスタレーション/パフォーマンス《リスの手法:境界線の幅》(2022)を構成する舞台装置として機能します。

笹本は、個人の心理や個性を表す日頃の癖に興味を抱き、日常的な習慣や所作を作品に取り入れてきました。本作はテリトリーに線引きをしたい人間の欲望を示唆し、内外の境界の根拠を問うと同時に、コミュニケーションの開閉を想起させます。私たちの身体や移動があらゆる制度に規定されていることも思い起こされるでしょう。疫病や戦争によって人々の移動が制約される状況下で、生存をかけて身体を別の位相に移すことへの希求は、より一層、切実です。

10代で渡英し、その後米国で美術、ダンス、彫刻等を学んだ笹本は、2016年ニューヨークのスカルプチャーセンターでの個展開催のほか、ホイットニー・ビエンナーレ2010(米国)、2022年開催の第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(イタリア)に参加しています。扉とのぞき穴を用いたマルセル・デュシャンの遺作(1946–1966)や、観客の身体が作品内を通過することによりイメージの生成に重点を置いたロバート・ラウシェンバーグの《至点》(1968)、戦後日本の重要な前衛美術グループ「具体美術協会」の村上三郎など、国際的な美術史の系譜も参照したい作品です。

主な作品発表・受賞歴
2022
第59回ヴェネチア・ビエンナーレ、アルセナーレ(イタリア)
2018
「開館40周年展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」国立国際美術館(大阪)
2016
個展「Delicate Cycle」スカルプチャーセンター(ニューヨーク、米国)
2010
ホイットニー・ビエンナーレ2010、ホイットニー美術館(ニューヨーク、米国)

展示情報

《リスの手法:境界線の幅》2022

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示/パフォーマンス風景
  • 《リスの手法: 境界線の幅》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分

関連情報

関連動画

笹本晃《リスの手法:境界線の幅》 パフォーマンス記録映像

イベント情報