今、を生き抜くアートのちから

ARTISTSアーティスト

ティエリー・ウッスThierry Oussou

  • 1988年アラダ(ベナン)生まれ。
  • アムステルダム(オランダ)拠点。

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西アフリカのベナンに生まれ、オランダのライクス・アカデミーで芸術教育を受けたティエリー・ウッス。彼はこれまで、ヴィジュアル・コンセプチュアル・アーティストとして多様なメディアを使った表現を実践してきました。例えば、近年のプロジェクト「インポッシブル・イズ・ナッシング」では、フランスにより植民地化されるまで存続していたダホメ王国のべハンジン王の玉座を複製し、土に埋めます。その後、考古学の学生たちと再発掘をするという一連のパフォーマンスを通して、美術品の返還をめぐる議論の根底にある概念的な問題を浮き彫りにしてきました。

本芸術祭では、ベナンがアフリカ最大の綿花生産国であることに根ざした最新作《イクイリブリアム・ウィンド(均衡の風)》を展開します。ベナンの広大な畑や、4トンもの綿花からなるインスタレーション風景を大画面に映しつつ、愛知県内外で無農薬栽培された日本原産の和綿や知多木綿に染付けた作品を展示。愛知県もまた綿花栽培や綿産業の歴史があることに注目し、「ベナン人民共和国」だった時代(1975–1990)が目指した社会について再考します。

様々な歴史を経て、いまなお貧困削減、農業補助金問題、SDGsといった国際的な論議でも盛んに取り上げられる「綿」。自ら綿畑を経営するウッスは、綿花は何百万人もの小規模農家によって生産され、各家庭やコミュニティ全体がこれに依存しているにもかかわらず、金や石油とは流通時の価値が明らかに異なる事実に旗を立て、手作業でこの仕事に従事する労働者への着目を促します。このような彼の活動は、綿産業を支える人々との出会いを通じ、理想的な流通サイクルをつくろうとする未来を見据えた希望的な提案を行っているといえるでしょう。

展覧会歴には、「Thierry Oussou」ユトレヒト中央博物館(2023、オランダ)、「Art du Bénin d’hier et d’aujourd’hui : de la Restitution à la Révélation(ベナン美術の昨日と今日:返還から啓示へ)」(2022、コトヌー、ベナン)、「unlocked/reconnected」アウデ・ケルク(2020、アムステルダム、オランダ)、「Impossible is Nothing」アート・エクスチェンジ(2019、エセックス、英国)、第21回Sesc_Videobrasil現代美術ビエンナーレ(2019、サンパウロ、ブラジル)、第10回ベルリン・ビエンナーレ(2018、ドイツ)などがあります。

主な作品発表・受賞歴
2023
個展(予定)「Thierry Oussou」ユトレヒト中央博物館(オランダ)
2022
「Art du Bénin d’hier et d’aujourd’hui : de la Restitution à la Révélation(ベナン美術の昨日と今日:返還から啓示へ)」(コトヌー、ベナン)
2020
「unlocked/reconnected」アウデ・ケルク(アムステルダム、オランダ)
2019
「Impossible is Nothing」アート・エクスチェンジ(エセックス、英国)
2019
第21回Sesc_Videobrasil現代美術ビエンナーレ(サンパウロ、ブラジル)
2018
第10回ベルリン・ビエンナーレ(ドイツ)

展示情報

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  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-17:00

※入館は閉館の15分前まで

休館日
水曜日
会場・アクセス
旧丸利陶管
  • 名鉄「常滑」駅下車 徒歩7分

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