ARTISTSアーティスト
トゥアン・アンドリュー・グエンTuan Andrew Nguyen
- 1976年サイゴン(ベトナム)生まれ。
- ホーチミン市(ベトナム)拠点。
TK06a
TK06b
- 主な作品発表・受賞歴
-
- 2022
- マニフェスタ14(プリシュティナ、コソボ)
- 2022
- ベルリン・ビエンナーレ(ドイツ)
- 2022
- ダカール・ビエンナーレ(セネガル)
- 2021
- アジア・アート・ビエンナーレ(台湾)
- 2020
- 上海ビエンナーレ(中国)
- 2020
- マニフェスタ13(マルセイユ、フランス/バングラデッシュ)
- 2019
- シャルジャ建築トリエンナーレ(アラブ首長国連邦)
- 2019
- 「SOFT POWER」サンフランシスコ近代美術館(米国)
- 2019
- シャルジャ・ビエンナーレ(アラブ首長国連邦)
- 2017
- ホイットニー・ビエンナーレ2017(米国)
- 2017
- ヨコハマ・トリエンナーレ(神奈川)
- 2017
- ARoSトリエンナーレ(デンマーク)
展示情報
《先祖らしさの亡霊》2019
TK06a
《先祖らしさの亡霊》(2019)は、フランスによるベトナムの植民地化の歴史に取材した作品です。20世紀半ば、フランスの支配に激しく抵抗するベトナムの人々を武力で鎮圧するため、同じくフランス領だったセネガルから多くの兵士がインドシナに派遣されました。1954年のディエンビエンフーの戦いでフランス軍が敗れると、インドシナに駐留していたセネガルの兵士たちは、彼らがベトナムで儲けた数百人の妻や子供たちとともに、西アフリカへ帰還しました。一方で、ベトナム人妻との子供や血のつながりのない子供を連れ、妻だけを残して故郷へ戻る兵士も少なくなく、移住した子供は出自とは切り離されてセネガルで育つこともあったといいます。
本作は主に、ベトナム人とセネガル人の血を引く3人の子孫によって書かれた、彼らの両親や祖父母との想像上の対話によって構成されています。執筆者はそれぞれ語り手としても映像に登場し、その内容は役者によって演じられ、時に記録的な映像が差し挟まれます。当事者の口から語られることによって、またそれが演じられることによって、過去の物語は生きたものとなり、リアルとフィクションとそのあわいが重なり合って家族史以上の輻輳的な歴史が綴られています。
本会場は、廻船問屋を主たる生業として栄えた瀧田家の住宅であり、建物内には海運業の歴史を示す資料が展示されています。海上を人や物を乗せて運んだ廻船と、人々の移動が生んだ複雑な歴史を主題とするトゥアンの作品は、響き合って日本とベトナムの歴史をつないでいます。
トゥアン・アンドリュー・グエンは、ローカル・ヒストリーの調査や当事者との協働によって主に映像インスタレーションや彫刻的オブジェを制作しています。1999年にカリフォルニア大学アーバイン校(米国)で美術学士、続いて2004年にカリフォルニア芸術大学(米国)で美術修士を取得しました。
本作はセネガルで撮影が行われ、2019年のシャルジャ・ビエンナーレ(アラブ首長国連邦)で発表されました。近年の主な展覧会に、マニフェスタ13(2020、マルセイユ、フランス)、「SOFT POWER」サンフランシスコ近代美術館(2019、米国)、ホイットニー・ビエンナーレ2017(ニューヨーク、米国)、自身が関わるザ・プロペラ・グループと共同参加したヨコハマトリエンナーレ2017(神奈川)などがあります。
- 開館時間
- 10:00-17:00
※入館は閉館の15分前まで
- 休館日
- 水曜日
- 会場・アクセス
- 廻船問屋 瀧田家
- 名鉄「常滑」駅下車 徒歩10分
展示情報
《ザ・ボート・ピープル》2020
TK06b
《ザ・ボート・ピープル》(2020)は、人類が滅亡した未来のフィリピン・バターン州(とかつて呼ばれた場所)を舞台に、船で旅をする5人の少年少女が、過去の文明の遺物たる仏頭と出会い、対話を通じて世界の断片を知るという物語です。半島を探索する少女たちは、20世紀前半の米国統治時代における同化政策の際の教科書や、太平洋戦争勃発後に上陸した日本軍の武器、1980年代に完成した原子力発電所にちなんだ名前の通りなど、過去の人間たちが残した遺構を発見していきます。またバターンは、1970年代以降に社会主義体制となったベトナムやラオス、カンボジアなどの国々から逃れたインドシナ難民たち、いわゆるボート・ピープルの停留の地となっていました。そのため、新しい受け入れ国へ向かう前の難民が滞在する難民収容センターや、彼らが築いたローマ教皇の記念碑や仏教寺院などが残っています。
瀧田家の床の間に展示されているのは、ボート・ピープルがバターンに渡るために乗った船を象った彫刻です。作品中、少女たちは忘れられた遺物を複製して燃やす謎めいた儀式を行います。砂浜に埋まった仏頭はその行為を伬しがりますが、少女はその理由を、燃やせばどこへでも連れて行けるから、と答えます。本作はバターンの忘れられた過去を弔い、未来へ連れていくためのモニュメントといえるでしょう。
トゥアン・アンドリュー・グエンは、ローカル・ヒストリーの調査や当事者との協働によって主に映像インスタレーションや彫刻的オブジェを制作しています。1999年にカリフォルニア大学(米国)で美術学士、続いて2004年にカリフォルニア芸術大学アーバイン校(米国)で美術修士を取得しました。近年の主な展覧会に、マニフェスタ13(2020、マルセイユ、フランス)、「SOFT POWER」サンフランシスコ近代美術館(2019、米国)、ホイットニー・ビエンナーレ2017(ニューヨーク、米国)、自身が関わるザ・プロペラ・グループと共同参加したヨコハマトリエンナーレ2017(神奈川)などがあります。
- 開館時間
- 10:00-17:00
※入館は閉館の15分前まで
- 休館日
- 水曜日
- 会場・アクセス
- 廻船問屋 瀧田家
- 名鉄「常滑」駅下車 徒歩10分