今、を生き抜くアートのちから

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横野 明日香Yokono Asuka

  • 1987年愛知県生まれ。
  • 愛知県拠点。

AC20

これらの絵画作品は、画家、横野明日香が長らくアトリエを構えていた愛知県瀬戸市の街並みを描いた絵画です。瀬戸は陶磁器産業で古くから知られ、陶磁器用の粘土を掘り出す採掘場が町の中心部に広がっています。大きく切削された斜面は、人工的につくり出されたものながら、非人間的な崇高さ、ダイナミックさをもたたえています。また、すぐ横に工場や倉庫の屋根が並び、地中から掘り出された土が、暮らしを彩る器へと姿を変えるプロセスも示されます。つまり、画中には日々の仕事を通して人々が大地と向き合って生み出された風景が広がっています。それは「自然の豊かな恵みの享受」や「自然破壊」のような言葉では捉えきれない、より広く複雑で具体的なものです。

加えて、瀬戸の風景は、北川民次や東松照明をはじめ、多くの芸術家が好んで取り組んだモチーフでもありました。大地を掘り、器を形づくり、それを火で焼く。その原初的な営みは、芸術家たちを刺激したのでしょう。横野はこれら表現の系譜を引き継ぎ、更新しているともいえるでしょう。

横野は筆致の違いやモチーフの構図、色彩など、ごく基本的な絵画の要素を通じて、人はいかにイメージを捉えるかを追求してきた画家です。今回の出展作群でも、力強いストロークがつくる絵肌と、剥き出しの土の斜面が呼応しあっています。また、これまで彼女は、大型公共建築や、植物などの卓上静物を主なモチーフとし、虚構的で無機質な世界を描いてきました。出展作品は、ほぼ初めて身近な風景に挑戦したものになっています。近年の主な展示に「現代美術のポジション2021–2022」名古屋市美術館(2021–2022、愛知)や、「あざみ野コンテンポラリー vol.10 しかくのなかのリアリティ」横浜市民ギャラリーあざみ野(2019、神奈川)があります。

主な作品発表・受賞歴
2022
個展「花と灯台」GALLERY ZERO(大阪)
2021-2022
「現代美術のポジション2021-2022」名古屋市美術館(愛知)
2019
「あざみ野コンテンポラリーvol.10 ・しかくのなかのリアリティ」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川)
2019
瀬戸現代美術展」瀬戸サイト(愛知)
2018
個展「組み合わせ」See Saw gallery+hibit(愛知)
2018
個展「不自由なしかく」GALLERY ZERO(大阪)
2014
「絵画の在りか」東京オペラシティアートギャラリー

展示情報

AC20

  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • 《瀬戸の風景》 2022
  • 撮影: ToLoLo studio
開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館(10F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分