今、を生き抜くアートのちから

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荒川 修作マドリン・ギンズARAKAWA and Madeline Gins

  • 荒川 修作
    1936年愛知県生まれ。ニューヨーク(米国)を拠点に活動。2010年、同地にて没。
  • マドリン・ギンズ
    1941年ニューヨーク(米国)生まれ。ニューヨーク(米国)を拠点に活動。2014年、同地にて没。

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荒川修作は、人間がものを見て意味を読み取るときのメカニズムをマドリン・ギンズとともに研究する過程で、1960年代中頃から記号、文字、数字、命題などで構成された「ダイアグラム(図式)」による絵画を描くようになります。《PINK》(1971–1972)では、左上と右下に描かれた「灰色を忘れよ」また「灰色でない色を忘れよ」という不可能な命題と、この命題に対する思考の働きの分析が記されます。さらに、《PINK》という「灰色でない色」のタイトルがつけられることによって、灰色についての記憶と忘却の機能に混乱を生んでいます。他方の《Blank Stations》(1981–1982)は、1970年代後半から荒川の関心事となる人間の精神その周囲へ不可分に拡がる空間、すなわち彼が「ブランク(空白)」と呼ぶもののダイナミズムが描かれます。

《問われているプロセス/天命反転の橋》(1973–1989)は、フランスのエピナール市、モーゼル川に荒川とギンズによる設計の橋をかけるプロジェクトであり、本作は全長140mの橋の1/10模型です。橋は21のセクションが連なってできており、それぞれが特定の身体的な反応を誘発するような装置となっています。タイトルにある「天命反転」とは、例えば人間の死など、私たちが必然と捉えている所与の条件を、思考方法に刺激を加えることで反転させることを意味します。荒川とギンズは、この橋を歩くことで人々が自身の身体を問い直し、死すべき天命を覆す機会を与えているのです。このプロジェクトは実現には至りませんでしたが、1990年代以降、二人は人間が「死なないために」生きられるよう設計した「天命反転」のための建築を国内外にいくつも完成させました。

荒川修作とマドリン・ギンズは、共に哲学・科学・芸術を統合する創造家を意味する「コーデノロジスト」を称し、1960年代初頭から共同制作を行いました。代表作に《意味のメカニズム》(1963–)、《問われているプロセス/天命反転の橋》(1973–1989)、建築作品に奈義町現代美術館の《遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》(1994、岡山)、《養老天命反転地》(1995、岐阜)、《三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller》(2005、東京)などがあり、会場ではこれら3つの建築作品を映像で紹介します。

主な作品発表・受賞歴
1979
個展、「荒川修作展 絵画についての言葉とイメージ」西武美術館(東京)
1991-1992
個展、「荒川修作の実験展―見るものがつくられる場」東京国立近代美術館他)
1997
個展、「Reversible Destiny ─ Arakawa/Gins」グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、米国)
  • 国際芸術祭「あいち2022」展示風景
  • © 2016 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.
  • 撮影: ToLoLo studio

展示情報

AC35

開館時間
10:00-18:00(金曜日は20:00まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日
月曜日(祝休日は除く)
会場・アクセス
愛知県美術館ギャラリー(8F)
  • 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
  • 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分

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