ARTISTSアーティスト
百瀬 文Momose Aya
- 1988年東京都生まれ。
- 東京都拠点。
AC27
AC60
展示情報
公演情報
自他の身体から生まれる違和感やコミュニケーションの不均衡、そこに生じるセクシャリティやジェンダーをめぐる問い。アーティストの百瀬文は、それらを「演じること」を通じて考察する映像や、パフォーマンスを制作する。武蔵野美術大学大学院修了展で発表した《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》(2013)は、現在に至るまで見る者に強い問いを投げかけ続ける初期の代表作だ。その後も《Social Dance》(2019)、《Born to Die》(2020)、《Love Condition》(2020、遠藤麻衣との共作)、《Flos Pavonis》(2021)などの映像作品を精力的に発表。そこに通底するのは、人間や生命同士が触れ合い、欲望し合い、すれ違う時に生じる緊張と葛藤、その背後に存在する不可視の抑圧や社会規範への強い問題意識だ。また2020年には東洋医学に基づく鍼治療を取り入れたセラピー・パフォーマンス『鍼を打つ』を発表、ケアと演劇的体験が両立する作品も開拓している。
百瀬は今回、愛知県美術館に収蔵された代表作《Jokanaan》(2019)の展示上映に加え、あらたに体験型パフォーマンス作品の制作に挑む。そこで試されるのは、個々の観客の想像力と倫理だ。観客は普段とは異なる身体の状態に誘われ、社会の中で不可視とされてきた声と対峙する。そこで語られる欲望に、私たちはどこまで共感し、共振することができるのか。ケアする者とされる者、施術者と患者、健常者と障害者といった、近代的な価値観によって分離された関係を超越し、欲望の根源に触れ合うことは可能なのか。身体的接触がタブーとなったコロナ禍を経て百瀬が問いかけるのは、生きることと切り離すことのできない、性と生、そのまだ語られ得ない地平なのだ。
- 主な作品発表・受賞歴
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- 2021
- 『鍼を打つ』シアターコモンズ’21、東京
- 2021
- 『I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U』パフォーマンスフェスティバルZIPPED、東京
- 2016
- 「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」森美術館、東京
- 2015
- 「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋──日本と韓国の作家たち」国立新美術館、東京
- 2014
- 個展「サンプルボイス」横浜美術館アートギャラリー1、神奈川
展示情報
《Jokanaan》2019
AC27
オペラ『サロメ』の一節にて、サロメはヨカナーン(預言者ヨハネ)に向かって「私を見て」と狂信的に歌い上げます。百瀬の《Jokanaan》は、このオペラをモチーフとしており、あたかも右側の女性がサロメで、左側の男性がヨカナーンのように見えます。
しかし、両者は実際に向かい合って歌っているわけではありません。左側の男性は、オペラの音源に合わせて口を動かし歌っているかのように振る舞い、一方、右側の女性は、男性の動きをモーション・キャプチャーでデータ化しつくられたCG映像です。つまり、劇中のサロメの感情を左側の男性は自らの身体に宿して振る舞い、彼の振る舞いのデータの集積によって右の女性像はつくられています。それでありながら、左右に男女二名が並ぶことで、両者の間に倒錯的な恋愛関係があるように錯覚させられます。
オペラ歌手の音声、音源に即した生身の人物の動き、その身体の動きのデジタルデータ、そのデータを視覚化した人のCG映像。本作では、これら複数の要素が、ずれを伴いつつ再統合されており、人の「主体」や「感情」の在り処についても問いかけます。百瀬文は、映像、手話、電話、字幕などの通信・媒介手段と、身体およびジェンダーの関わり、そして、それらから生じるコミュニケーションの可能性・不可能性について主に扱っています。また、それにあたってドキュメンタリーとフィクション、内発的な行動と演技が、しばしば意図的に混合されている点が特徴です。それゆえ、彼女の活動は、造形美術とパフォーマンスの問題意識を架橋するものといえます。近年の主な展示に「新・今日の作家展2021 日常の輪郭」横浜市民ギャラリー(2021、神奈川)「フェミニズムズ/ FEMINISMS」金沢21世紀美術館(2021–2022、石川)があるほか、「シアターコモンズ’21」(2021、東京)ではパフォーマンス作品『鍼を打つ』を発表しました。
- 開館時間
- 10:00-18:00(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
- 休館日
- 月曜日(祝休日は除く)
- 会場・アクセス
- 愛知県美術館ギャラリー(8F)
- 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩3分
- 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩3分
公演情報
『クローラー』
体験型パフォーマンス
AC60
- 日時
- 10月6日(木)
17:00 / 17:20 / 17:40 / 18:00 / 18:20 /
18:40 / 19:00 / 19:20 / 19:40 / 20:00 10月7日(金)-10月9日(日)
11:00 / 11:20 / 11:40 / 12:00 / 12:20 /
12:40 / 13:00 / 13:20 / 13:40 / 14:00 /
14:20 / 14:40 / 15:40 / 16:00 / 16:20 /
16:40 / 17:00 / 17:20 / 17:40 / 18:00 /
18:20 / 18:40 / 19:00 / 19:20 / 19:40 /
20:00 10月10日(月・祝)
11:00 / 11:20 / 11:40 / 12:00 / 12:20 /
12:40 / 13:00 / 13:20 / 13:40 / 14:00 /
14:20 / 14:40 / 15:00 / 15:20 / 15:40 /
16:00 / 16:20 / 16:40 / 17:00 - 上演時間
- 20分
- 上演言語
- 日本語、英語
- チケット料金
- 一般 2,000円
U25 1,500円・当日券は、一般・U25一律で、+500円となります。
- 会場・アクセス
- 愛知県芸術劇場 小ホール (B1)
- 東山線または名城線「栄」駅下車 徒歩5分
- 瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分
- 注意事項
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- お一人ずつ体験していただく作品になります。
- ご予約時間に遅れた場合は、途中入場できません。
- 一部、刺激的な表現を含みます。16歳以上のご参加を推奨いたします。
- 視覚障害、聴覚障害のある方、車椅子をご利用の方は事前にクラシック名古屋までご連絡ください。
- 利用料:
- 児童1人につき、1,000円
- 対象:
- 3歳から就学前までの児童
- 公演パンフレット
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構成・演出・脚本: 百瀬文
ナレーション: Mayumi - PHOTO
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