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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

カマラ・イブラヒム・イシャグ

Kamala Ibrahim Ishag

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • カマラ・イブラヒム・イシャグ
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説

カマラ・イブラヒム・イシャグは、スーダンで育った自身の歴史を見つめながら、スーダンの美術界の先駆者として制作活動を続けてきました。彼女はクリスタル・グループの創立メンバーとして、それまでのスーダンの伝統的な美意識に異を唱え、独自の芸術言語を用いて、精神性を重んじ、女性に対する支配や束縛、差異や境界をなくすために活動してきました。
自然や憑依信仰「ザール」などからインスピレーションを得たイブラヒム・イシャグの作品には、しばしば人間と植物が絡み合うように描かれています。それらは私たちがいかに自然環境と一体であるかを問いかけ、自然と人間の相互関係や生命の循環を想起させます。彼女が描く歪んだ表情と身体をもつ女性たちは、ザールの霊に憑依された女性たちのトランス状態を暗示し、抑圧されたような歪みは人物の内面、その人生や環境から生じています。
《バイト・アル・マル》(2019年)に見られるグリッドを独自に探求した手法は、彼女の絵画に特徴的なスタイルです。幼少期を過ごしたバイト・アル・マル地区の隣人たちの人間関係を、繭に包まれた身体を配した有機的な地図として描き出しています。《私の2本のニームの木》(2023年)には、彼女の父親の誕生日に植えられ、以来何世代にもわたり、庭で生きてきた木々が描かれ、また《起源》(2022年)では人間と木々はもとは同じ起源であったことが示されて、私たちがいかに土地に根ざし、そこに育つすべてのものとともに生きているかが表されています。

会場

愛知芸術文化センター 8F
愛知県美術館ギャラリー

プロフィール

  • 1937年オムドゥルマン(スーダン)生まれ。シャルジャ(アラブ首長国連邦)、ハルツーム(スーダン)拠点。

先駆的なアーティストとして知られるカマラ・イブラヒム・イシャグは、スーダンの芸術運動ハルツーム派の一員として、アフリカのモダニスト達の芸術に関する議論に大きな影響を与えた。イシャグはまたスーダンの伝統的な美意識に異を唱えるクリスタリスト派の創設メンバーでもあり、独自の芸術言語を用いて現実と欺瞞、精神性と神性、女性に対する支配や束縛といったテーマを探求している。自然やスーダンのザール信仰の憑依儀礼に着想を得たイシャグの作品には、歪んだ人物が描かれることが多い。何かに閉じ込められているようなその姿は、スーダンやアフリカ地域の女性たち、世界中に離散したアフリカの女性たちの、変化に翻弄された人生を想起させる。イシャグの作品はニューヨーク近代美術館やシャルジャ美術財団に収蔵されている。2019年にプリンスクラウス文化賞の最高賞を受賞。

主な発表歴
2024–25
「Vital Signs: Artists and the Body」ニューヨーク近代美術館(米国)
2022–23
個展「Kamala Ibrahim Ishag: States of Oneness」サーペンタイン・サウス・ギャラリー(ロンドン、英国)
2016–17
個展「Women in Crystal Cubes」ギャラリー4、アル・ムレイハ・アートスペース、シャルジャ美術財団(アラブ首長国連邦)
  • 《My Two Neems》 2023
  • Photo: Waleed Shah