ラーニング

国際芸術祭「あいち2025」のラーニング・プログラムは、誰もが安心して楽しめる環境づくりを目指します。「あいちトリエンナーレ2010」から15年にわたって芸術祭を支えてきた存在であるボランティアとともに、来場者も地域の方々も、それぞれの立場で積極的に参加できる仕組みづくりをミッションに掲げています。

具体的には、愛知芸術文化センターと瀬戸市内にラーニングの拠点を設け、研修や、レクチャー、ワークショップなどのプログラムを実施するとともに、休憩やおしゃべりなどにも利用できるような学びと憩いの場として整備します。加えて、ボランティア一人ひとりが今まで以上に主体的に芸術祭に関われるようなボランティア・プログラムを検討しています。

また、これまでの「あいち」の芸術祭で実施してきた、子ども達が現代アートに触れる学校連携事業や、ボランティアによるガイドツアー等を継続していくとともに、障害のある方や妊婦の方、小さなお子さんを連れた方や日本語以外が母語の方なども視野に入れた、アクセシビリティの向上にも取り組んでいきます。

「あいち2025」開催に先駆け、2024年10月~11月には、瀬戸市のまちなかに期間限定のプレ拠点を設けます。さらに、「ラーニングを学ぶ」第一歩として「ラーニング・ラーニング」という名称のプレイベントを立ち上げ、今後、勉強会やまち歩きプログラムを実施していく予定です。

今回のラーニング・プログラムは、建築家、リサーチャー、写真家、アートマネージャー、アーティストという多様な専門領域を持った5名のメンバーが企画・運営しています。本芸術祭のテーマを踏まえて議論を重ね、多様な人々が暮らす社会において、私たちはどのような学びと向き合うことができるのか、という課題について考え続けています。

異なる立場で実践を重ねてきた私たちはそれぞれの専門知識と経験を活かし、しばしば自分の経験や立場を省みながら、誰もが安心して楽しめる芸術祭を実現するために尽力していきます。

ラーニング・チーム

ラーニング・チーム集合写真

(左から)村上慧、野田智子、辻琢磨、黑田菜月、浅野翔

辻琢磨

静岡県生まれ。静岡県拠点。

建築家。2008年横浜国立大学建設学科建築学コース卒業。2010年横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA修了。2011年403architecture [dajiba]設立。2017年辻琢磨建築企画事務所設立。2022年合同会社辻琢磨建築企画事務所に改称。現在、渡辺隆建築設計事務所特別顧問。2014年「富塚の天井」にて第30回吉岡賞受賞。2016年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館にて審査員特別表彰

※共に403architecture [dajiba]として受賞。

浅野翔

兵庫県生まれ。愛知県拠点。

デザインリサーチャー。2014年京都工芸繊維大学大学院デザイン経営工学専攻修了。同年から、名古屋を拠点に活動を始める。「デザインリサーチによる社会包摂の実現」を理念に掲げ、調査設計、ブランド・商品開発、経営戦略の立案まで、幅広いジャンルで一貫したデザイン活動を行っている。「未知の課題と可能性を拓く、デザインリサーチ手法」を掲げ、文脈の理解〈コンテクスト〉と物語の構築〈ヴィジョン〉を通した、一貫性のある提案を行う。合同会社ありまつ中心家守会社共同代表。

黑田菜月

神奈川県生まれ。東京都拠点。

写真家。2013年第8回 写真「1_WALL」にてグランプリを受賞。人と人との間に写真をおくことで起こるやりとりに関心を持つ。近年は、フィールドワーク、ワークショップなどを交えた映像作品も手がける。また、公立動物園の周年企画に携わるなど幅広い活動を行う。主なグループ展に2023年 東京ビエンナーレ「動物園の避難訓練」。主な個展に「『約束の凝集』vol. 3 黑田菜月 写真が始まる」gallery αM(2021、東京)、「つくりかけラボ13 野鳥観察日和」千葉市美術館(2023)などがある。

野田智子

岐阜県生まれ。京都府拠点。

アートマネージャー。2020年よりアートマネジメントとメディアプロデュースを軸にしたアーツプロダクション「Twelve Inc.」を共同設立し、芸術文化の環境創造とアーティストとの協働を行う。アーティスト・コレクティヴ「Nadegata Instant Party」メンバー。主な仕事に「あいちトリエンナーレ2019」ラーニングセクションマネジメント(2018–19)、国際芸術祭「あいち」ラーニングコーディネーター(2021–22)、名古屋城を舞台にしたアートプロジェクト「アートサイト名古屋城」プロデューサー(2023–)がある。

村上慧

東京都生まれ。長野県、東京都、千葉県拠点。

アーティスト。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。近年は千葉県山武市に購入した土地で、自然現象を利用した冷暖房を開発する《村上勉強堂》計画を進めている。主な展覧会に「村上慧 移住を生活する」金沢21世紀美術館(2020、石川)、「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」寺田倉庫(2024、東京)、著書に『家をせおって歩く』(福音館書店、2016)などがある。