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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

ミルナ・バーミア

Mirna Bamieh

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • ミルナ・バーミア《サワー・コード》2024
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説

ミルナ・バーミアは、食べものを個人的かつ政治的な行為として捉えた二つの作品を、愛知芸術文化センター内の旧レストランのホールとキッチンの両方に展示しています。
ホールに展示した《サワー・コード》は、唐辛子、オクラ、ニンニク、クローブを模した陶器のオブジェを連ねて吊り下げたもので、古代から続く保存方法である天日干しを思わせます。いずれも薬効で知られ繁栄の象徴とされる食材で、唐辛子やオクラの一部は子供が描いたような絵で装飾されています。今も続く残虐行為を目撃しつつそれに対する護りの象徴として、大きな目が描かれているものもあります。巨大なニンニクの球根には、著名なパレスチナの詩人マフムード・ダルウィーシュの詩句「あなたは存在したこともなかったかのように忘れ去られるだろう」が刻まれています。バーミアは、自らの姓がアラビア語でオクラを意味することから、このプロジェクトを自己治癒と述べています。
《ビター・シングス:オレンジの名のもとに》は、食べものがもつ感覚的な言葉が記憶や抵抗、語りを橋渡しし、キッチンの空間に観客が入り込むような感覚を喚起する作品として構想されました。そこで語られるのは、苦いオレンジから港町ジャッファの甘いオレンジへと至るオレンジの物語です。古代から戦争と占領の歴史に至るまで、苦味は喪失、亡命、そして抵抗の跡を見つめるレンズとなり得るのです。シャムーティ種のジャッファ・オレンジの陶器の彫刻が点在する生の粘土の風景は、パレスチナの農業と伝統が受けた暴力的な破壊を暗示しています。粘土には、アンダルシアとレバント地方におけるビターオレンジの収穫と発酵の伝統的な手法が映し出されています。

会場

愛知芸術文化センター 2F
旧レストランスペース

プロフィール

  • 1983年エルサレム(パレスチナ)生まれ。リスボン(ポルトガル)拠点。

ミルナ・バーミアは、現代の政治的ジレンマに翻弄されるパレスチナのコミュニティの社会的関心と限界を紐解くことで、消失の政治と記憶の生成を探求している。視覚芸術、料理芸術、心理学、社会学の学位を持つバーミアは、2018年に立ち上げたライブ・アート・プロジェクト「パレスチナ・ホスティング・ソサエティ」を通じて、食と物語を融合させたソーシャリー・エンゲイジド・アート作品を制作。食習慣や何世代にもわたって受け継がれてきたレシピをもとに、ディナー・パフォーマンスやさまざまな介入型の作品を展開し、消滅の危機に瀕している伝統的なパレスチナの食文化の再生を目指す。2019年からは個人の歴史を共同体の観点から捉え直すべく、発酵のプロセスに注目。テキストやサウンド、陶磁器、ドローイング、ビデオ作品など、多彩な手法を取り入れながら、その場所ならではのインタラクティブなインスタレーションを制作。現在は発酵をテーマにした「Sour Things」シリーズと「Bitter Things」シリーズというインスタレーション・プロジェクトに取り組んでいる。

主な発表歴
2024
個展「Sour Things」NYU上海現代美術センター(中国)/ニカ・プロジェクト・スペース(パリ、フランス)
2024
「The Ecologies of Peace」アンダルシア現代美術創造センター(C3A)(コルドバ、スペイン)
2023
第15回シャルジャ・ビエンナーレ「Thinking Historically in the Present」(アラブ首長国連邦)
2017-18
「ディアスポラ・ナウ! ~故郷(ワタン)をめぐる現代美術」岐阜県美術館
2017
「7つのトランスフォニー」トーキョーワンダーサイト渋谷
  • 《Sour Cords》 2024
  • Courtesy of Nika Project Space and the artist.