展示・公演等
ロバート・ザオ・レンフイ
Robert Zhao Renhui
- 現代美術
- 愛知芸術文化センター
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- ロバート・ザオ・レンフイ
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:ToLoLo studio
作品解説
ロバート・ザオ・レンフイは、開発によって一度破壊され、その後自然が回復した場所である「二次林」に注目し、2017年から観察を続けてきました。長期にわたるその観察の集大成が、2024年の第60回ヴェネチア・ビエンナーレで発表され、「あいち2025」のために再構成されたインスタレーション作品《森を見る》です。
中核をなす映像《フクロウと旅人たち そしてセメントの排水溝》は、ザオが自宅からズームレンズで撮影した映像に加え、シンガポールの二次林に設置された野生動物用の動体検知カメラなどによる長期間にわたる撮影映像を組み合わせて制作されました。自然界の静かな営みと、人間の介入の痕跡が対比的に映し出される画面には、森の木々、動物、植民地時代の残骸、コンクリートの排水溝から水を飲むために飛来する鳥たち、そして森の中をさまよう二人の旅人の現実離れした語りが描かれます。この作品と対話をするような彫刻的な映像インスタレーションには、彼が実際に森を探索して発見した古い瓶や日本兵による残置物などが組み込まれ、自然の歴史と絡み合った人間の存在を暗示しています。
ザオは、自然と人工物、外来種と在来種、過去と現在が交錯する二次林の姿を可視化することで、人間と自然が互いに変容しながら共生していく道を提示しています。本作は、完全に理解することのできない自然界を根気強く観察してきたザオの視点を通して、自然の回復力と多層的な時間の重なりへと私たちの思考を誘います。
会場
愛知芸術文化センター 8F
愛知県美術館ギャラリー
プロフィール
- 1983年シンガポール生まれ。シンガポール拠点。
ロバート・ザオ・レンフイは、自然と文化の複雑で入り組んだ関係性を探求する領域横断的な実践を行うアーティスト。生物界を構成する多様な存在や物体に関心を寄せ、インスタレーションや写真、映像、彫刻を媒体として、その経験や知識が人間という集合的存在をいかに豊かにしているかを描き出している。
- 主な発表歴
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- 2024
- イノヴァアートビエンナーレ vol.01「Multiple Future: a new visions of our life」イノヴァ美術館(廊坊、中国)
- 2024
- 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ、シンガポール館(イタリア)
- 2023
- 第14回光州ビエンナーレ「soft and weak like water」(韓国)
- 2020
- 釡山ビエンナーレ2020「Words at an Exhibition, an exhibition in ten chapters and five poems」釡山現代美術館(韓国)
- 2019
- シンガポール・ビエンナーレ2019「Every Step in the Right Direction」ギルマン・バラックス
- 《Albizia》 2023