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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

山本作兵衛

Yamamoto Sakubei

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 山本作兵衛
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説

名古屋市の栄と瀬戸市のまちなかを結ぶ名鉄瀬戸線(1939年までは瀬戸電気鉄道)、通称「せとでん」は、石炭窯が主流だった大正から昭和にかけて、瀬戸の陶磁器製品を運び出す一方で、水運で名古屋に持ち込んだ大量の燃料用の石炭を瀬戸に届けていました。瀬戸の窯業を支えたこれらの石炭の多くは、筑豊をはじめ九州の炭田で採掘されたものでした。
その九州・筑豊地方に生まれた山本作兵衛は、かぞえの7歳ではじめて坑内に入ったのを皮切りに、各地の炭坑を転々と渡り歩きながら働きました。1955年、位登炭坑の閉山で退職すると、夜間警備の仕事の傍らで、後世に炭坑の姿を伝えるため絵筆を取るようになりました。以降、92歳で没するまでに制作した記録画は、ゆうに1,000点を超えています。炭坑労働者の視点からまったくの独学で描いたこれらの絵は、過酷な労働の作業プロセスや用いる道具の特徴などを、細部にわたる丁寧な解説文とともに克明に表現しており、今も生々しい臨場感を備えています。2011年には、作兵衛の記録画や日記等のうち福岡県田川市と山本家が所有する697点が、人類が共有すべき歴史的な遺産として日本初のユネスコ「世界の記憶」に登録されるなど、急激な発展を遂げた日本の近代産業の一側面を捉えた類を見ない貴重な作品・資料として注目を集めています。ここで紹介するのは、生前の作兵衛が親類縁者に贈った記録画27点です。

会場

愛知芸術文化センター 10F
愛知県美術館

プロフィール

  • 1892年福岡県生まれ。1984年福岡県にて没。

九州・筑豊地方に生まれ、かぞえの7歳ではじめて坑内に入ったのを皮切りに、各地の炭坑を転々と渡り歩いた。1955年に位登炭坑閉山により退職、夜間警備の仕事の傍らで、後世に炭坑の姿を伝えるため絵筆を取るようになる。以降、92歳で没するまでに描いた記録画は1,000点を超え、『明治大正炭坑絵巻』(1963年)、『画 文集 炭鉱に生きる』(1967年)、『山本作兵衛画 文筑豊炭坑繪巻』(1973年)などの形で刊行されている。炭坑労働者の視点から描かれた生々しい臨場感を備えた記録画や日記等のうち697点が、2011年に人類が共有すべき歴史的な遺産として日本初のユネスコ「世界の記憶」に登録されている。

主な活動歴
1906
麻生山内炭坑(福岡県)に入坑
1955
長尾鉱業所位登炭坑(福岡県)の閉山で退職
1957
長尾鉱業所本事務所の夜警宿直員となり、仕事の傍らで絵筆を取る
1963
『明治大正炭坑絵巻』を刊行
2011
記録画、日記等697点が日本初のユネスコ「世界の記憶」に登録される
  • 《低層炭 坐り掘り》 1973
  • ©︎Yamamoto Family