今、を生き抜くアートのちから

LEARNINGラーニング

サマー・スクール

現代の子どもたちは自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら行動することで、不透明な社会や人生を切り拓いていく力が求められています。教職員や美術教育関係者の方々に、「主体的な学び」「対話的な学び」「深く考える学び」の視点から、「何を学ぶか」だけでなく「いかに学ぶか」を重視して能動的に学び続ける「アクティブ・ラーニング」を「アート」「芸術祭」をテーマとしたレクチャーや実践、リサーチを通じて体験していただき、今後の教育活動の参考としてもらうことを目的に、「サマー・スクール」を実施しました。

実施日時|2021年8月21日(土)、22日(日)両日とも10:30〜16:30
会場|アートラボあいち
対象|愛知県内の教育関係者等

プログラム内容

8月21日(土)

10:30−12:00 レクチャー
「対話型鑑賞の紹介」

13:00−16:30 ワークショップ
「対話型鑑賞の実践」
会田大也(国際芸術祭「あいち2022」キュレーター(ラーニング))

8月22日(日)

10:30−12:00 レクチャー
「芸術祭を考える」
吉見俊哉(社会学者)

13:00−14:00 レクチャー
「国際芸術祭「あいち2022」について」
片岡真実(国際芸術祭「あいち2022」芸術監督)

14:00−16:30 ワークショップ
「リサーチ実践」
山本高之(国際芸術祭「あいち2022」キュレーター(ラーニング))

活動の様子

8月21日(土)

レクチャー「対話型鑑賞の紹介」、ワークショップ「対話型鑑賞の実践」
会田大也(国際芸術祭「あいち2022」キュレーター(ラーニング))

対話型鑑賞に関するレクチャーと実践を行いました。難解であると思われがちな現代アートの作品であっても、「みる・考える・話す・聴く」を繰り返し、認知段階を整理しながら進めることで、「わからない」が最初にこない鑑賞を体験しました。

8月22日(日)

レクチャー「芸術祭を考える」(オンライン講義と質疑応答)
吉見俊哉(社会学者)

1964年に開催された東京オリンピック以後、日本で開催されてきた、また開催を目指していたオリンピックや万国博覧会などについてのレクチャーの後、吉見先生から3つの質問が投げかけられ、参加者と活発な意見交換が行われました。

レクチャー「国際芸術祭「あいち2022」について」
片岡真実(国際芸術祭「あいち2022」芸術監督)

今日の現代アートが生まれた時代的な背景や世界の動き、アートシーンの変容などが詳しく紹介されました。後半には、国際芸術祭「あいち2022」へと繋がり、どのように楽しむことができるのか、教育現場で活用できるようにするにはどうするべきかなどの質疑応答がなされました。

ワークショップ「リサーチ実践」
山本高之(国際芸術祭「あいち2022」キュレーター(ラーニング))

山本さんが、過去に実践したリサーチ・プロジェクト「名古屋オリンピックリサーチコレクティブ」での活動が紹介されました。参加者との意見交換の中では、アーティストが作品を生み出す過程(リサーチ)は、単なる知識の積み重ねとは異なる、豊かな学びの実践であることについて話されました。今回の「あいち2022」のラーニング・プログラムでも、アーティストと共にリサーチ・プロジェクトを実施する予定です。


ゲスト・講師プロフィール

吉見俊哉(よしみ しゅんや)
2004年より東京大学大学院情報学環教授。主たる専攻は社会学、都市論、メディア論、文化研究。演劇論的なアプローチを基礎に、日本におけるカルチュラル・スタディーズの中心的な存在として先駆的な役割を果たしてきた。主な著作に、『都市のドラマトゥルギー』(弘文堂、1987年、河出文庫2008年)、『万博幻想』(ちくま新書、2005年、講談社学術文庫2011年)、『大学とは何か』(岩波新書、2011年)、『五輪と戦後:上演としての東京オリンピック』(河出書房新社2020年)等多数。

片岡真実(かたおか まみ)
ニッセイ基礎研究所都市開発部、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003 年より森美術館。2020 年より同館館長。2007~2009年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9回光州ビエンナーレ(2012年)共同芸術監督、第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018年)。2014年から国際美術館会議(CIMAM)理事を務め、2020年より会長(~2022年)。2020年11月に国際芸術祭「あいち2022」芸術監督に就任。

会田大也(あいだ だいや)
2003年開館当初より11年間、山口情報芸術センター(YCAM)の教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域にまたがるオリジナルワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当する。2014〜2019年、東京大学大学院ソーシャル ICT グローバル・クリエイティブ・リーダー(GCL)育成プログラム特任助教。「あいちトリエンナーレ2019」および、国際芸術祭「あいち2022」においてキュレーター(ラーニング)を務める。2021年現在、山口情報芸術センター(YCAM)アーティスティックディレクター。

山本高之(やまもと たかゆき)
愛知県生まれ。子どもの会話や遊びに潜在する創造的な感性を通じて、普段は意識することのない制度や慣習の特殊性や個人と社会の関係性を描き出してきた。近年は地域コミュニティと協働して実施するプロジェクトや、一般を対象としたオルタナティヴなアートスクール・プログラムにも取り組んでいる。これまでに第6回シャルジャ・ビエンナーレ(2003年)、「笑い展:現代アートに見る『おかしみ』の事情」(森美術館、2007年)、あいちトリエンナーレ2010、「アジアの亡霊」(アジア美術館、サンフランシスコ、2012年)、「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」(森美術館ほか、2014-2015)、第3回コチ=ムジリス・ビエンナーレ(2016年)などに参加。