展示・公演等
アフラ・アル・ダヘリ
Afra Al Dhaheri
- 現代美術
- 愛知芸術文化センター
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- アフラ・アル・ダヘリ
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:ToLoLo studio
作品解説
アフラ・アル・ダヘリの作品は、アブダビで幼少期を過ごし、美容師として働きながら美術を学んだ彼女自身の経験に深く根ざしています。ロープやコンクリートなど無機的な建築資材と、人間の髪の毛のように繊細で儚い有機的なものとを用いることで、公と私、内と外、強さと脆さといった二項対立的な概念が実は隣接している、ということを作品を通じて表現しています。
2021年にドバイの個展で発表した作品のなかから、「あいち2025」では「髪」にまつわる3作品を展示しています。セメントという硬質な印象を与える素材を使って、脆くほつれて切れてしまう髪の柔らかさを表現した《スプリットエンズ(枝毛)》は、質感や物事が変容する始まりと終わり、あるいは終わりと新たな始まりの間の時間と空間を象徴しています。天井から垂れ下がる無数のロープによって区切られた空間は、鑑賞者が自分の身体を動かすことで、作品に対する親密さを肌で感じられるように意図されています。対照的に、《一本ずつ ──〈解きほぐす〉シリーズより》における、集めた髪の毛をテープで留めまっすぐに伸ばすという行為は、人間の髪の毛の繊細さ、複雑さ、そして力強さを示しています。アル・ダヘリの作品に特徴的な繰り返しや反復は、時間を拡張すると同時に、作品を一つひとつの段階で深く体験し、味わうための手段でもあります。
会場
愛知芸術文化センター 10F
愛知県美術館
プロフィール
- 1988年アブダビ(アラブ首長国連邦)生まれ。アブダビ(アラブ首長国連邦)拠点。
アフラ・アル・ダヘリの作品は、近年目覚ましい変化を遂げている都市アブダビ、そしてアラブ首長国連邦で幼少期を過ごした経験に深く根差している。ミクストメディア、彫刻、ドローイング、絵画、インスタレーション、写真、版画などの多様な媒体を用いて、アル・ダヘリは時間と適応、厳しさと脆さの概念を描いている。それぞれの実験的な作品は新規の位相を切り拓き、独特な参照の仕方で新たな現象や物事を具現化する方法を生み出す。アル・ダヘリの作品に見られる反復は、時間を引き延ばす手法であり、作品の一つひとつの段階を深く体験し、味わう手段でもある。
- 主な発表歴
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- 2024
- 「Public Matter」パブリック・アート・アブダビ・ビエンナーレ(アラブ首長国連邦)
- 2024
- 「Between the Tides: A Gulf Quinquennial」NYUアブダビ・アートギャラリー(アラブ首長国連邦)
- 2023
- 個展「Give Your Weight To The Ground」グリーン・アート・ギャラリー(ドバイ、アラブ首長国連邦)
- 2022
- 「Icon. Iconic., Art Here 2022」リシャール・ミル・アートプライズ、ルーブル・アブダビ(アラブ首長国連邦)/グリーン・アート・ギャラリー(ドバイ、アラブ首長国連邦)
- 2021
- 個展「Split Ends」グリーン・アート・ギャラリー(ドバイ、アラブ首長国連邦)
- 《Split Ends》 2020
- Photo: Anna Shtraus
- Courtesy the Artist and Green Art Gallery, Dubai