展示・公演等
エレナ・ダミアーニ
Elena Damiani
- 現代美術
- 愛知県陶磁美術館
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- エレナ・ダミアーニ《レリーフⅢ》2025
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:怡土鉄夫
作品解説
レリーフⅢ
エレナ・ダミアーニは、地質学、地理学、地図学、考古学、天文学など複数の領域を横断しながら、物質や風景に見られる長大な時間の変化を探求してきました。その表現には、人の一生をはるかに超えるスケールで変動し続ける地球やさまざまな物質の構造を、理知的に捉えようとする姿勢がうかがえます。
代表作の〈Relieve〉シリーズは、降雨によって砂や鉱物が形を変えて再び乾燥して硬化することで、地形が生まれる様子を想起させます。土壌に痕跡を刻む幾何学的なかたちのオニキス「オロイド」は、地質学的な時間軸で環境に応じて姿を変える物質の象徴でもあります。同じシリーズの一環である本作には、瀬戸の窯業を支えてきた蛙目粘土や珪砂、酸化鉄を含んだ黄土といった地元の原料が使われています。一見これらの原料は変化しないもののようにも思われますが、実際には長い年月をかけて、風化、堆積という物理的・化学的な分解の過程を経て現在の姿に至っています。
手彫りのオロイドは、こうした物質の流転をたどるかのように左右に揺れながら軌跡を描いています。ダミアーニの試みは、私たちが静的で固定されているとみなしがちな物質の世界に潜む、はるかに長い時間の流れを可視化するものであり、地質年代や歴史、それらと深い関わりをもつ人類の営みを、別の視点から読み直しています。
会場
愛知県陶磁美術館
本館
プロフィール
- 1979年リマ(ペルー)生まれ。リマ(ペルー)拠点。
エレナ・ダミアーニは、地質学、地理学、地図学、考古学、天文学を用い、このような領域の分類や、物理的世界に対する私たちの理解を解釈し直す。ダミアーニの作品は、地質年代、歴史、そして人類の軌跡の分類に対する別の読み方を提示している。彼女の表現には、ほんの束の間地上に存在する人間よりも、はるかに長い期間に渡って存在する構造物が、どのように形成され、機能するかを理解したいという思いが顕著に表れている。こうした思いが、私たちが生きる世界のさまざまな段階や自然のプロセスに対して私たちが抱いている考えを再解釈しようと試みる彼女の一連の探究を形成している。
- 主な発表歴
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- 2023
- 第12回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ「THIS TOO, IS A MAP」ソウル市立美術館(韓国)
- 2022
- 「Chosen Memories: Contemporary Latin American Art from the Patricia Phelps de Cisneros Gift and Beyond」ニューヨーク近代美術館(米国)
- 2022–23
- 「Abundant Futures. Works from the TBA21 Collection」アンダルシア現代美術創造センター(C3A)(コルドバ、スペイン)
- 2022
- 個展「Ensayos de lo sólido」リマ現代美術館(ペルー)
- 2015
- 第56回ヴェネチア・ビエンナーレ、国際美術展「All the World’s Futures」(イタリア)
- 《Relief I》 2023
- Photo: Juan Pablo Murrugarra