本文へ移動

国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

加藤泉

Kato Izumi

  • 現代美術
  • 愛知県陶磁美術館

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 加藤泉
  • © 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:怡土鉄夫
作品解説

加藤泉の絵画と彫刻に登場するモチーフは、この世界に現れる前の原初的な生物の形態を思わせます。初期絵画では、羊水や膜に覆われた胎児や横たわる幼児、佇む精霊のような存在が特徴的でした。近年では、人間と動植物や魚介類が描かれた複数のキャンバスを組み合わせた作品も見られます。とりわけ2021-2022年にかけて制作したリトグラフによるシリーズ〈From the Sea〉から発展した絵画の組作品には、魚介類の図鑑や写真を参照してモチーフを具象的に描く新たな挑戦と、幼少期から海辺で釣りをして育った加藤の視覚的な経験の蓄積が反映されています。あらゆる生命体が互いにどのような関係をもつことができるか、絵画が現実に応答しながらも虚構である特性を活かして、人間と他の生命が等しく存在していることを示唆するようでもあります。
初個展から約30年を経て、加藤が自身の表現に課した飽くなき挑戦は広がりを見せています。筆を用いず手指で描くのに適したキャンバスの目の粗さを試すことに始まり、彫刻では木彫からアルミニウム鋳造に、素材にはソフトビニール、プラモデル、石、布地、ブロンズが加わり、色調も鮮やかになりました。加藤の探求心と、素材や技法に対するオープンな態度が、彫刻も「絵」と考える画家としての加藤のストイックな支柱を成しています。同時に、作品に堅苦しさがなく、さりげない可笑しみが伴うことも加藤にとって重要です。「あいち2025」では愛知県陶磁美術館所蔵の資料との共演に、その遊び心を垣間見ることができます。

会場

愛知県陶磁美術館
デザインあいち

プロフィール

  • 1969年島根県生まれ。東京都拠点。

加藤泉の絵画や彫刻には、未分化な原始生物、胎児、動物、またはそれらのハイブリッドのような存在が表象されている。人間、自然、環境をめぐる根源的な関係が見出される彼の作品は、胎内回帰を想起させながら、新たな神話的物語を紡ぎ出しているようでもある。2007年の第52回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展「Think with the Senses – Feel with the Mind. Art in the Present Tense」に選出されたのをきっかけに、国内外で精力的に発表を行う。近年では、木彫に彩色を施した従来の彫刻に加え、ソフトビニール、プラモデル、石、布地、アルミニウム、ブロンズも素材に加わり、加藤の絵画の意識はソフト・スカルプチャーやインスタレーションへと拡張している。

主な発表歴
2022–23
個展「寄生するプラモデル」ワタリウム美術館(東京)
2021–22
個展「STAND BY YOU」SCAD Museum of Art(サバンナ、米国)
2019–20
個展「LIKE A ROLLING SNOWBALL」原美術館/ハラ ミュージアム アーク(東京/群馬)
2019
個展「Izumi Kato」カーサ ワビ財団(プエルト・エスコンディード、メキシコ)
2018
個展「Izumi Kato」レッドブリック美術館(北京、中国)
  • 《無題 Untitled》 2023
  • Photo: 岡野圭
  • © 2023 Izumi Kato