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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

久保寛子

Kubo Hiroko

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 久保寛子《青い四つの手を持つ獅子》2025
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 久保寛子《テラスの器》2025
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説
青い四つの手を持つ獅子

久保寛子は先史時代の芸術や民俗学的視点をもとに、ブルーシートなどの工業製品を使用し、自然の脅威や、周縁化された女性像を現代的に再考してきました。「あいち2025」では「戦争と災害」をテーマとした、壁画のような巨大なタペストリーと、「創造」をテーマとした複数の土器を通して、人類の営みに潜む正と負の側面に向き合おうとしています。
ブルーシートという現代的で身近な素材を用いたこの作品では、「負の側面」を強調しています。そこには、戦争で破壊された街、難民キャンプ、キノコ雲、疫病を媒介する家畜、水害など、私たちが直面するさまざまな災厄が連続的に描かれています。また、シンボリックな獅子の顔と四つの手は、ヒンドゥー教の破壊と創造を司るヴィシュヌ神がモチーフです。原爆の父・オッペンハイマーは自らが創造した破壊の力を目の当たりにした際、ヒンドゥー教の聖典に登場するクリシュナ(ヴィシュヌ神の化身)の一節を思い浮かべました。そこには人類が手にした圧倒的な力への畏怖と、新たな負の連鎖への後悔が読み取れます。こうした終わりなき破壊と創造の循環において、画面中央の子を抱く人の姿は次世代に託す創造や再生への希望か、あるいはそれすらも破壊の連鎖に取り込まれる絶望の予兆なのか、久保はわたしたちに問いかけます。
地下1階の展示ケースに収められた土器は、「正の側面」に焦点を当てており、さまざまな形のうつわや生きものが組み合わさった作品です。これらは異なる時代や地域に共通する人類の原初的な創造の力を象徴しています。

会場

愛知芸術文化センター
B2F フォーラムⅡ
B1F 展示ケース

プロフィール

  • 1987年広島県生まれ。千葉県拠点。

テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。先史芸術や民族・民俗芸術、文化人類学などにまつわる学説のリサーチをベースに、ワイヤーメッシュや農業用シート、防風ネットなどの工業製品を用いて彫刻作品を制作している。自然の脅威や遺物の破壊と再生、周縁化されてきた女性の表象などをテーマに、神話や祈りがかたちをなす偶像や、人々の暮らしの中から生まれた実用品に宿る美について、久保は作品を通じて現代的な視点から再考を促す。広島文化新人賞(2022年)、六甲ミーツ・アート公募大賞(2017年)受賞。KAMU KANAZAWA(石川)、おおさか創造千島財団、株式会社 IZAK(富山)などに大型作品が収蔵されている。

主な発表歴
2024
個展「鉄骨のゴッデス」ポーラ ミュージアム アネックス(東京)
2024
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024(新潟)
2023
GO FOR KOGEI 2023「物質的想像力と物語の縁起―マテリアル、データ、ファンタジー」富岩運河環水公園(富山)
2023
Romantic Route 3, Falabidbog(苗栗、台湾)
2022
個展「ISAAC」LOKO Gallery(東京)
  • 《ヒト新世の群像》 2022
  • Photo: 浅野堅一