展示・公演等
メイサ・アブダラ
Maitha Abdalla
- 現代美術
- 瀬戸市のまちなか
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- メイサ・アブダラ
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:城戸保
作品解説
あなたに負けるわけにはいかない
メイサ・アブダラは、演劇における身振りや空間演出の考え方を活かした造形作品で、民俗学や神話、ジェンダー、社会規範、心理学といった幅広いテーマを探求しています。抽象と具象が劇的に行き来するその作品は、しばしば自身の弱さをさらすような、生活空間に閉じ込められたキャラクターを生み出します。絵具を指で塗り重ね、木炭で自身の輪郭をなぞるなど、アブダラにとって制作は身体を用いたパフォーマンスの延長線上にあります。
「あいち2025」では、罪悪感、生存、変容、そして希望を扱った新作を展示しています。「誕生」「ダンス」「死」という三つの章からなる絵画は、恐竜のメタファーで、母という存在の内的・外的な葛藤と、人類全体が抱えた罪悪感や人間と環境との関係を浮き彫りにします。
《第1章 誕生》では、女性が恐竜の顔をした赤ん坊を産み落としています。これは、生まれてくる子供とともに芽生える罪悪感の象徴です。《第2章 ダンス》は、女性としての自我と母親としての役割の間で揺れる姿を象徴しています。母親が罪悪感と共生しようとする試みの循環は、《第3章 死》によって閉じられます。巨大化した恐竜は罪悪感が圧倒的な力をもつようになった状態を表し、母親は抵抗することなく、自らが産み出したこの存在に呑み込まれようとしています。アブダラの作品は、生きることに伴う脆さや複雑さを反映し、絶えず変化する今日の世界で人々が直面する課題や感情に対して独自の視点を提示します。
会場
瀬戸市新世紀工芸館
プロフィール
- 1989年コールファッカン(アラブ首長国連邦)生まれ。アブダビ(アラブ首長国連邦)拠点。
さまざまなジャンルを横断するメイサ・アブダラは、映像、写真、彫刻、絵画、ドローイング、パフォーマンスを組み合わせる。演劇のパフォーマンス性と演出空間を活かし、民俗学や神話、ジェンダー、社会規範、心理学といった幅広いテーマを探求して制作を行うアブダラにとって劇場は、社会での経験や想像、記憶、空想を客観的に見つめる場である。彼女は、抽象と具象が往来する幻想的な舞台で自己の探求を続ける。その表現にはドラマ性と哀愁が漂い、しばしば自身の弱さを晒すような、生活空間に閉じ込められたキャラクターを演じる。アブダラにとって制作過程はパフォーマンスの延長線上にあり、絵具を指で塗り重ね、木炭で自身の輪郭をなぞるなど、身体を用いたアプローチを特徴とする。
- 主な発表歴
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- 2023
- 「Evaporating Suns: Contemporary Myths from the Arabian Gulf」バーゼル H. ガイガー文化財団(スイス)
- 2023
- 第15回シャルジャ・ビエンナーレ「Thinking Historically in the Present」(アラブ首長国連邦)
- 2022
- 「Portrait of a Nation II」タバリ・アート・スペース(ドバイ、アラブ首長国連邦)
- 2022
- 個展「INT. The Body – Sunrise」クロムウェル・プレイス(ロンドン、英国)
- 《EVAPORATING SUNS》 2023