展示・公演等
マリリン・ボロル・ボール
Marilyn Boror Bor
- 現代美術
- 愛知県陶磁美術館
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- マリリン・ボロル・ボール《水はコンクリートになった ──〈山が奪われセメントがもたらされた〉シリーズより》2023/2025
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:怡土鉄夫
作品解説
水はコンクリートになった ──〈山が奪われセメントがもたらされた〉シリーズより
マヤ・カクチケル族にルーツをもつマリリン・ボロル・ボールは、その芸術活動において、先住民のアイデンティティや植民地主義といったテーマを軸に、アメリカ大陸の歴史認識に対する問題提起をしています。そして、見過ごされてきた先住民の歴史を見つめ直す作品を通じて、今を生きる私たちにメッセージを発信し続けています。
「あいち2025」で展示されている陶器は、先住民が日常生活で使用するものですが、その内側にはコンクリートが詰められています。コンクリートによって使いものにならなくなったこれらの器は、地域の支配階級が先住民のコミュニティにもたらした傷を暗に示しています。その背景には、ボロル・ボールの故郷サンフアンサカテペケスで行われたセメント工場の開発によって、地元コミュニティの水源が断たれてしまったという出来事があります。器から流れ出すコンクリートは、床に近付くにつれ土に変わり、展示ケース内の底辺に堆積して先住民の肖像画を浮かび上がらせています。メソアメリカの先住民族は、植民地化の過程において侵略や迫害を受けてきたのみならず、近現代史の大部分において、その存在を不可視のものとされてきました。これらの肖像画は、そのような状況にもかかわらず大地を守り、自然や生命の叡智を祖先から代々受け継いできた女性たちに捧げられています。
会場
愛知県陶磁美術館
本館
プロフィール
- 1984年サンフアンサカテペケス(グアテマラ)生まれ。グアテマラ(グアテマラ)拠点。
マヤ・カクチケル族のアーティスト、マリリン・ボロル・ボールは、キュレーター、美術教授、カルチュラル・マネージャーとしても活動する。幅広い素材を用いた社会参加型の芸術実践で知られるサン・カルロス・グアテマラ大学を卒業後(美術学士)、先住民のアイデンティティ、歴史的記憶、植民地主義、抵抗などをテーマとするプロジェクトを手掛ける。自国グアテマラ内外で多数の個展やグループ展に参加し、中南米以外にも、米国、スペイン、スイス、ドイツ、マレーシア、英国などで発表。革新的な現代アーティスト100人強を紹介する『Prime: Art’s Next Generation』(Phaidon/2022)にも選出された。
- 主な発表歴
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- 2024
- 「Fugas de lo nuestro. Visualidades indígenas de sur a norte」サルバドール・アジェンデ連帯美術館(サンティアゴ、チリ)
- 2024
- 「Musa. Perspectivas femeninas en las Colecciones del MAMM y MAC Panamá」メデジン近代美術館(コロンビア)
- 2023
- 第35回サンパウロ・ビエンナーレ「choreographies of the impossible」(ブラジル)
- 2023
- 第23回パイス・アート・ビエンナーレ「I drank words submerged in dreams」(グアテマラ、グアテマラ)
- 2022
- 「COMMUNICATING VESSELS. Collection 1881–2021」ソフィア王妃芸術センター(マドリード、スペイン)
- 《They took the mountains, gave us back concrete.》 2022