展示・公演等
マイケル・ラコウィッツ
Michael Rakowitz
- 現代美術
- 瀬戸市のまちなか
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- マイケル・ラコウィッツ
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:城戸保
作品解説
マイケル・ラコウィッツは、人間と物質の間にできてしまった社会的、歴史的、または政治的な溝を埋める活動を、彫刻、映像、インスタレーション、そしてパフォーマンスを通じて行っています。イラク系ユダヤの背景をもつ米国人であるラコウィッツの文化的ルーツは、彼の多くの作品の基点となっています。
「あいち2025」の展示は、古代アッシリア帝国(現在のイラク北部)の首都カルフ(ニムルド)の宮殿にかつてあった200枚のレリーフパネルを、実物大で複製するプロジェクトのうち7点です。同宮殿は、米国主導のイラク戦争後の混乱期、2015年にISISによって破壊されました。破壊前の宮殿の展示を忠実に再現したこのプロジェクトでは、現存するパネルの保管場所を示すラベルを付した何もない空白部分も重要な要素で、本展の床の空白もその手法を踏襲しています。それらの多くは、19世紀半ばに英国人の考古学者オースティン・ヘンリー・レイヤードによって発掘された後、輸出され、西洋の収集家や博物館によって所蔵されました。これらのメソポタミア遺物の物語は、1941年に祖国イラクから逃れざるを得なかった作家自身の家族の歴史と重なります。ラコウィッツは破壊前日の宮殿の姿を可視化することで、失われた壁画とともに暴力的に故郷を追われた人々を偲びます。よく見ると、壁画は中東諸国から輸出された食品パッケージや、米国やディアスポラコミュニティのアラビア語の古新聞紙といった素材でつくられていることがわかります。こうした使い捨ての素材は、長きにわたって伝わる遺物の儚い運命を強調しています。
会場
梅村商店
プロフィール
- 1973年ニューヨーク(米国)生まれ。シカゴ(米国)拠点。
マイケル・ラコウィッツは、問題の解決と発生が交差するような場において、多領域を横断しながら活動するアーティストである。植民地主義や地政学的対立など、さまざまな形での強制排除によって文化財や人々が居場所からの退去を強いられていることに着目し、日用品に新たな意味を与えたり型破りなアプローチを取り入れ、問題の周知を図る。2018年には、ハーブ・アルパート芸術賞を受賞し、ロンドンのトラファルガー広場の第4の台座に作品を展示する名誉を得た。2020年にはパブリック・アート・ダイアローグ賞、およびナッシャー賞を受賞。現在、ハーグ市からの委嘱で、考古学と移民の流れをテーマとした公共プロジェクトを手掛けている。
- 主な発表歴
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- 2021
- 「England’s Creative Coast」ターナー・コンテンポラリー(マーゲート、英国)
- 2020
- 「Our World is Burning」パレ・ド・トーキョー(パリ、フランス)
- 2019–20
- 個展「Legatura imperfetta」ホワイトチャペル・ギャラリー(ロンドン、英国)/カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(イタリア)/ジャミール・アートセンター(ドバイ、アラブ首長国連邦)
- 2019–20
- 個展「The Invisible Enemy Should Not Exist」マルメ市立美術館(スウェーデン)
- 2012
- ドクメンタ13(カッセル、ドイツ)
- 《The invisible enemy should not exist (Lamassu of Nineveh)》 2018
- Photo: Gautier DeBlonde ©
- Courtesy of the Mayor of London.