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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

ムルヤナ

Mulyana

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • ムルヤナ《海流と開花のあいだ》2019-
  • © 国際芸術祭「あいち」組織委員会
作品解説
海流と開花のあいだ

インドネシア、バンドンの書店でアルバイトをしていた時に始めた編み物にのめり込み、現在ではかぎ針編みの手法で「記憶のなかにある理想的な海」を壮大で美しいインスタレーションとしてつくりあげるムルヤナ。工場の余剰分をはじめ、リサイクルされた毛糸を作品の素材として積極的に用いることで、インドネシアの環境改善に意識を傾けながら、海への想像力や生きものの記憶を作品のなかで再構築しています。ムルヤナは、世界が直面する深刻な環境問題を遊び心や想像力をもって変容させる作品によって世界各国で評価され、今や美術のみならずファッションやプロダクトデザインなど、活動の幅を広げています。
本作に登場する眩しいほどに色鮮やかな海洋生物たちは、目を凝らすと隅々まで毛糸で編まれていることがわかります。太陽の光を目一杯浴びながら海の浅瀬に繁殖する珊瑚や生きもの、それらの周りに漂う小魚の群れ。その向こう側には、温暖化の影響によって白化した珊瑚と静かに眠るような鯨の骨。広大で深い海を展示空間に凝縮したような作品は、生きものの活発な「生」のエネルギーと、静かな「死」のイメージが共存し、循環する海の豊かさが表現されています。
プラスチック廃棄物などで深刻化するインドネシアの海洋汚染を目の当たりにしたムルヤナは、本来存在した海の美しさと記憶を、丹念に編み込むかぎ針編みのプロセスと鮮やかな色彩の毛糸で表現しました。そんなムルヤナの作品には、海と人間の深いつながり、作品制作に協力し携わった人々と鑑賞者を結びつける、根源的な強さと詩的な美しさを感じ取ることができます。

会場

愛知芸術文化センター 10F
愛知県美術館

プロフィール

  • 1984年バンドン(インドネシア)生まれ。ジョグジャカルタ(インドネシア)拠点。

ムルヤナ(マングモエル)は、毛糸や布を用いて表現するビジュアル作家。2012年にバンドンのインドネシア教育大学美術学部を卒業し、同年「Mogus World」展を開催後、ジョグジャカルタに拠点を移した。Mogusとは、自らの分身であるタコの怪物で、海中を模した生態系を背景に作り上げた。マングモエルの作品は、毛糸が主な素材で、鉄の構造物や他の素材も支柱等に使用し、巨大なフォルムを成している。また、主要素材を節約するため、モジュラー式となっている。自分の着想が環境に間接的な影響を及ぼすことを意識し、新しい毛糸ではなく、バンドンにある工場の余り物の毛糸を使用している。節約と素材のリサイクルにもなると考え、これが作品のコンセプトの核となっている。

主な発表歴
2023
「Imagery of Eastern Nusantara Sea」KINスペース(ジャカルタ、インドネシア)
2023–24
「BLUTOPIA」エアサイド(香港)
2023
個展「Modular Utopia」USCフィッシャー美術館(ロサンゼルス、米国)
2023
「水のアジア」福岡アジア美術館
2018
《Sea Remembers》アートジョグ2018「Enlightenment」ジョグジャカルタ国立博物館(インドネシア)
  • 《Sea Remember》 2018
  • Collection of Paulus Ong.