展示・公演等
永沢碧衣
Nagasawa Aoi
- 現代美術
- 愛知県陶磁美術館
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- 永沢碧衣
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:怡土鉄夫
作品解説
永沢碧衣は生まれ育った秋田県で子供時代から魚釣りや川遊びに親しみ、2013年に開学した秋田公立美術大学アーツ&ルーツ専攻で、フィールドワークに根ざした絵画制作や人類学を学びました。大学卒業後は自ら狩猟免許を取得して東北の山岳地帯に生きるマタギ文化に関わり、狩猟者としての経験を重ねながら、人以外の生きものたちとの出会いや生命の交渉、刻々と変化しつつある地域の景観や生物環境を描き出す作品を制作し続けています。
近年では日本各地でのリサーチ活動をもとに、自らが体験してきた獣害問題、地球温暖化とともに烈しさを増す気象災害、伝統狩猟における祈りや恵みの自覚といった多元的な現実を反映し、表現の方法も多様化しています。また、自身が狩猟し、解体した熊や鹿などの動物の毛皮から膠を抽出し、動物の血や石から絵具を精製するといった材料面での研究を通じて、生命の循環や根源的な記憶を可視化する方法を模索しています。
生命についての深い関心を動機とする彼女の絵画は、自然環境の破壊(絶望)や人間中心主義による一方的な繁栄(希望)といった二者択一を超えて、自然景観の継承や希少種との共存についての鋭く根源的な問いかけを含んでいます。「あいち2025」の作品においても、人以外の生きものを他者と認め、古来の知恵と現代の視点を交錯させる独自の制作スタイルが遺憾なく発揮されています。
会場
愛知県陶磁美術館
本館
プロフィール
- 1994年秋田県生まれ。秋田県拠点。
永沢碧衣は、主に東北の狩猟・マタギ文化に関わり、自らも狩猟免許を取得。狩猟者としての経験を重ねていくことで出会う種々のものとの関係性を記録・表現した絵画作品を制作している。巨視と微視を行き来することで「人と生物と自然」の相関を問い、それらの境界線を溶解し消化することが創作の原動である。解体した熊から膠を抽出したり、切り株をキャンバスに見立てたり、石から絵の具を採取するなど、素材としてもモチーフとしても、日々山と向き合いながらフィールドワークを重ね、生命の根源や循環、記憶の痕跡を辿る旅を続けている。
- 主な発表歴
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- 2024
- 「アケヤマ─秋山郷立大赤沢小学校─」大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024(新潟)
- 2024
- 「弘前エクスチェンジ #06 白神覗見孝」弘前れんが倉庫美術館(青森)
- 2023
- 「Material, or」21_21 DESIGN SIGHT(東京)
- 2023
- 「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画─横山大観、杉山寧から現代の作家まで」ポーラ美術館(神奈川)
- 2021
- 個展「霧中の山に抱かれて」北秋田市阿仁公民館(秋田)
- 《背負う者》 2018