本文へ移動

国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

佐々木類

Sasaki Rui

  • 現代美術
  • 瀬戸市のまちなか

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 佐々木類《忘れじのあわい》2025
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:城戸保
作品解説
忘れじのあわい

窯業が盛んな瀬戸のまちには、かつてあちこちに銭湯があり、その日の仕事を終えた陶工たちでにぎわっていたそうです。ここ旧日本鉱泉もその一つ。3代にわたって長らく人々の憩いの場となっていましたが、2021年春に惜しまれつつ閉業しました。
佐々木類は、その土地の環境や人々の暮らしに結びついた植物に目を向けることで、場所の歴史や記憶を手繰り寄せようとしてきたアーティストです。佐々木は何度も瀬戸に通ってリサーチを重ね、地元の人たちとともに季節ごとの植物を採取しました。浴室には、それらの植物を封じ込めたガラスがまるで人々の記憶を宿した亡霊のようにひっそりと佇んでいます。窯業が始まる前から瀬戸に生息していた植物、窯焚きの燃料として伐採された植物やその反対に窯業があったからこそ守られた植物、人々の生活に馴染みのあるまちなかの植物など、やきもののまち瀬戸に見られる多様な植物を、佐々木はさまざまな人が集う場所であった銭湯の空間にちりばめました。また、瀬戸にあるガラス会社のデッドストックや取り壊されることになった古民家から譲り受けた雨戸や戸棚のガラスを用いて、銭湯という空間を活かしつつ、瀬戸のまちや日本鉱泉に堆積した時間を多角的に浮かび上がらせようとしています。
かつてお湯が張られた空間に置かれた透明で艶やかなガラスは、水を思わせながらも水とは違い、不変で半永久的な耐久性をもちます。佐々木はそこに、褪せてゆく記憶や感覚をとどめようという思いを込めています。

会場

旧日本鉱泉

プロフィール

  • 1984年高知県生まれ。石川県拠点。

身近にある自然や生活環境にインスピレーションを得ながら、主に保存や記録が可能な素材であるガラスを用い、自分が存在する場所で知覚した「微かな懐かしさ」の有り様を探求している。北欧やアメリカを中心に滞在制作に招聘され、国内外の美術館で展示活動を行う。主な賞歴は、第33回Rakow Commission 2018(2019年、コーニングガラス美術館、米国)、富山ガラス大賞展2021大賞(富山市ガラス美術館)。ラトビア国立美術館、金沢21世紀美術館(石川)など作品収蔵多数。ニューヨークタイムズ紙などで作家特集掲載。

主な発表歴
2024
「コレクション展 1」金沢21世紀美術館(石川)
2024
個展「雪の中の青」アートコートギャラリー(大阪)
2023
個展「Subtle Intimacy: Here and There」ポートランド日本庭園(米国)
2021
GO FOR KOGEI 2021「特別展Ⅰ工芸的な美しさの行方 工芸、現代アート、アール・ブリュット」那谷寺(石川)
2013
瀬戸内国際芸術祭2013、粟島(香川)
  • 《植物の記憶: Subtle Intimacy (2012–2022)》 2022
  • Photo: Yasushi Ichikawa