本文へ移動

国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

シェイハ・アル・マズロー

Shaikha Al Mazrou

  • 現代美術
  • 瀬戸市のまちなか

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • シェイハ・アル・マズロー《賽の一振りは決して偶然を排することはない》2025
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:城戸保
作品解説
賽の一振りは決して偶然を排することはない

シェイハ・アル・マズローは、ミニマリズムやコンセプチュアル・アートといった20世紀以降の美術史の文脈に根ざし、素材の物理的な特性や、それらがもつ潜在的な意味に注目して制作を行ってきました。色彩理論や幾何学的抽象を参照する彼女の作品は、一貫して形式と素材の関係を探究しています。
本作は、フランス近代を代表する詩人ステファヌ・マラルメの『賽の一振りは決して偶然を排することはない』に着想を得ています。偶然と必然の共存をテーマとするこの詩は、言葉と空白を巧みに配置することで、視覚的にも時間的にも多層的な詩の空間を創出したと評価されています。
作品が設置されたこの場所には、かつて噴水があり、利用者に憩いの場を提供していましたが、いつしか水は失われてしまいました。現在の状態は、数えきれないほどの偶然と必然の出来事が積み重なった結果ともいえます。アル・マズローは、この水の「不在」に着目し、本来は動的で常に変化し続けるはずの水を、大理石という固形化された静的な物質に置き換えて表現しました。敷き詰められた大理石には、二つの波紋が刻まれています。それらは秩序立った構造をもちつつ、互いに干渉しながら水面を揺るがせ、時間の経過や出来事の痕跡を示しています。また、この二つの波紋は水面に投げ入れられた何らかの存在と、その「不在」も示唆しています。本作を通してアル・マズローは、偶然と必然、そして存在と不在といった相反する概念が交錯する瞬間を可視化しようと試みているのです。

会場

瀬戸市美術館

プロフィール

  • 1988年シャルジャ(アラブ首長国連邦)生まれ。ドバイ(アラブ首長国連邦)拠点。

シェイハ・アル・マズローは、シャルジャ大学美術デザイン学部を卒業。2014年にロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツで芸術修士号を取得し、MFA学生賞を受賞した。その後、母校シャルジャ大学で彫刻の授業を担当、現在は、ニューヨーク大学アブダビ校にて准教授を務めている。アル・マズローの彫刻における実験と探究は、物質性の表現、すなわち形式と内容の緊張関係と相互作用を表わしており、同時に素材とその物理的特性の直感的で鋭敏な理解でもある。アル・マズローは、色彩理論から幾何学的抽象主義に至るまで、フォルムと素材に焦点を当てた現代のアートムーブメントの概念を統合・進化させている。

主な発表歴
2024
アートバーゼル香港、香港コンベンション&エキシビションセンター
2022–23
個展「Dwelling in the Gap」ロウリー・シャビビ(ドバイ、アラブ首長国連邦)
2022
フリーズ・スカルプチャー2022、リージェンツ・パーク(ロンドン、英国)
2022
デザート X アル・ウラー2022 (サウジアラビア)
2020
「Rearranging the Riddle」マラヤ・アートセンター(シャルジャ、アラブ首長国連邦)
  • 《Accordion Structure》 2022