展示・公演等
シルビア・リバス
Silvia Rivas
- 現代美術
- 愛知芸術文化センター
展示情報
- 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
- シルビア・リバス《羽音のダイナミクス》2010
- ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
- 撮影:ToLoLo studio
作品解説
羽音のダイナミクス
シルビア・リバスは、1990年代初頭からアルゼンチンをはじめとするラテンアメリカにおいて、映像インスタレーション、パフォーマンスなどの領域横断的な表現の先駆者として評価を得てきました。実験的な作品を通して、映像と身体の関係性や時間の概念、人間が置かれている状況などについての考察を深めてきました。リバスの作品は、普遍的なものを喚起しながら、同時に現在という瞬間に位置付けられ、具体的な体験に基づく連想を促します。
《羽音のダイナミクス》(2010年)には、短いシーンの連続のなかで蠅とそれを追い払おうとする手が次々に現れ、両者はインタラクティブに動き回ります。一匹の蠅が圧倒的な数の群れに増殖し、その後分散され、最終的には元の一匹の蠅に収束するというプロセスが繰り返されます。ブンブンという羽音と蠅を追い払う単純な動作の執拗な反復は不快感を生み出し、不安や苛立ちを増幅させます。映像の時間的な展開は、行動と反応、状態と進行に基づいて構築されています。人間と非人間の相互作用から生まれたこの映像に表れる光景は、意味の伝達、つまりメタファーとして現れています。蠅は人間と現実、象徴、そして架空の文脈における多様な状況下での目に見えない繊細な関係性の、目に見える痕跡です。また、羽音は偶然の一致、より正確に言うならば原因と結果の間の不調和を示しているのです。
会場
愛知芸術文化センター 8F
愛知県美術館ギャラリー
プロフィール
- 1957年ブエノスアイレス(アルゼンチン)生まれ。ブエノスアイレス(アルゼンチン)拠点。
シルビア・リバスは、映像インスタレーション、パフォーマンス、空間と関わるオブジェで知られ、アルゼンチンやラテンアメリカで領域横断的な表現を行うアーティストの草分けとして評価を得てきた。1990年代から隠喩的な可能性をもったさまざまな媒体や技術を取り入れ、時間の概念と人間が置かれている状況を探究してきた。リバスは、普遍的でありながら状況に依存するようなものを想起させることで、具体的な体験を通した連想を促そうとする。リバスの考えでは、激動する状況に直面した人々にとって大きな力となるのは、まさにその瞬間の認識に根ざして粘り強く抵抗する姿勢なのである。彼女の作品は、映像がリアルなものであるという仮定に疑問を投げかけ、視聴覚に訴えかける物語の力を振り返り、その映像自体とその映像が参照しているものを疑う。数多くの美術館においてグループ展や個展を開催し、その作品は国内外の公立および私立コレクションに収蔵されている。
- 主な発表歴
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- 2024
- 個展「Cronotopías」ボゴタ近代美術館(コロンビア)
- 2010
- 個展「Zumbido, Contemporáneo 26」ブエノスアイレス・ラテンアメリカ芸術博物館(アルゼンチン)
- 2005
- 第5回メルコスール・ビエンナーレ「Direções no Novo Espaço」(ポルトアレグレ、ブラジル)
- 2004
- 個展「Everything from the outside」ブエノスアイレス現代美術館(アルゼンチン)
- 2003
- 第8回ハバナ・ビエンナーレ「Art with life」ウィフレド・ラム現代美術センター(キューバ)
- 《Buzzing Dynamics》 (ビデオ・スチル) 2010